SILLY GOD DISCO

□キミの声。
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どうして、俺が。
何で、俺が。
こんな目に合わなければいけない・・・?

そう、そこは何もかも・・・
閉ざされた世界だった―・・・。

...01

「・・・・っ」
今日は携帯のアラームの前に起きた。
時間は9:00。遅くも早くも無い。
・・・それと
耳が、ヤケに痛い。
ジワジワしてくるような、そんな痛み。
「痛・・・っ」
自分ではしっかりと言葉を発しているつもりだった。
でも、聞こえないんだ。
・・・声が。
 驚愕しているところに丁度設定していたアラームが鳴り始める。
バイブで震えているのは確かだ。
動いてベッドから落ちそう・・・
でも、アラーム音が聞こえない。
 俺が事実を捉えるのには時間が掛かった・・・―

 『耳が、聞こえない』

涙が、ツゥと頬を伝う。
ギタリストにとって耳が聞こえないには、致命的だ。
俺は、バンドを脱退しなきゃならないかもしれない・・・
もう、一生治らないのかもしれない・・・

不安な思いだけが潰すように胸を圧迫する。
理由の無き涙がシーツを濡らす。

「んで・・・俺が・・・」
心の中で思いをぶつけるしかない、今の俺には。

『何で、俺が。』
そう、絶望感と。
耳の聞こえない、音の世界からの迫害感。
ひとりぼっち、孤独。
恐怖。

「葵さ・・・・ん・・・」
助けて、俺を。
この孤独を拭って欲しい。
早く。早く。

ただその一心で携帯でメールを打つ。

『助けて』

俺は、アンタじゃなきゃ・・・

今縋りたいのは

葵さんなんだ。
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