赫い鼓動
□社会人の憂鬱事
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おかしいぜ、
何もかも。
オレを取り巻く総てが・・・
特に、
アイツが・・・
...01
「先輩、今日残業?」
「あ゛ぁ!?」
「相変わらず、機嫌悪いね〜」
ホンット、ムカつく・・・
このカメ野郎・・・
オレよりちょっと頭イイからって調子乗りやがって(いや相当な差ですよ)
「ま、先輩!干物な脳味噌で頑張ってくださいね」
「死ねぇぇええ!!!」
オレは書類を思い切りヤツに向かって投げ捨てた。
あっさりと避けやがった・・・
「ふぅ・・・」
パソコン触りっぱなしで目ェ痛ぇし・・・
ローマ字打ちできねぇし!?
なんか悪ィかよっ(問題ですよ、ソレ)
今日中に明日提出の書類できねぇし。。。
でも、あのスケベ野郎だけには・・・
死んでも頼まねぇ!!
「コレ以上スキルダウンできねーって」
マジでリストラされるっつーの。
PM8:00・・・
「あれー?先輩、定刻過ぎてるじゃん、帰らなくてもイイの?」
挑発してんのか、クソ野郎!
「うっせぇな!手伝いもしねーくせに何時までも残ってんじゃねェよ!」
「手伝ってあげてもイイよ?」
「・・・・はァ?」
・・・何言ってんだコイツ。
頭、イカれたか?(アンタもな)
「でも条件があるんだよね、聞いてくれるなら、その書類全部完成させてあげるよ♪」
「条件?・・・パシリとか言ったら、ブッ殺すぞ」
「そんな低レベルな事、僕が言うと思う?」
「思わねぇ」
・・・・何させる気だよ、コイツ。
オレにできる事なんて知れてるじゃねぇか。
「ま、先にやってあげるから休憩したら?」
「いいのかよ」
「出来上がった後でイイよ、僕の事は」
何か、ヤケにイイ奴じゃねーか・・・
・・・気持ち悪ィ・・・(酷)
AM1:00・・・―
流石にこの時間になると、会社内には人影も無くなり、ウラとモモの2人だけとなった。
「ん・・・・」
どうやら、オレは寝てしまっていたらしい。
スーツがかけてあって、道理で寒くなかったワケだ。
「カメは・・・・?」
ソファからゆっくりと腰を上げると、コーヒーを飲みながら書類を纏めているアイツが居た。
このスーツ・・・アイツの・・・?
「寒ィくせして・・・カッコつけやがって」
そう呟くオレに、カメは気づく。
「あ、起きた?もう終わったよ」
「悪ィな、寝ちまって」
「先輩にも、コーヒー淹れてくるね」
・・・・この後、
自分が、
どうなるかなんて
オレは知らずに。
ちょっとしたアイツの優しさに
心揺れるだけだった・・・―