SILLY GOD DISCO

□キミの声。
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...02

何分経ったのだろう。
ただ窓を見つめ、
俺は疎外感を味わっている。

 ふわっ・・・

あ、知ってる匂いだ。
甘くて、でもどこか冷たい
青い薔薇みたいな・・・

「あお・・・いさん?」
それに、しっかりと腕に抱かれている。
葵さんの。
香水の匂いだ・・・。

葵さんの口元が動いている。
何て言ってるんだろう。
声が、聞きたい・・・

俺は、ゆっくり手を伸ばし。
囁くように、
葵さんに言った。

『耳が、聞こえないんだ』
と。

葵さんの表情が変わった。
何で、葵さんが泣きそうなの?

「何で、葵さんが泣くの・・・」
葵さんは、一筋涙を流していた。

  ぎゅっ・・・

「・・・・葵さん?」
あったかい、
安心する温もりが伝わってくる。

俺を離すと、葵さんは近くにあったメモにこう書いた。

『心配しんくていい』

どうして、こんなに優しいんだろう。
甘えたくなるから、俺は。

思ってしまった。
このまま、ずっと
耳が聞こえないままなら。
葵さんは・・・
俺だけを見ててくれるのかな・・・?

そんな事を。
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