嗚呼素晴らしき日常

□あわてんぼうのサンタクロース
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「お疲れ様でしたー」


いつものようにコンビニのバイトを終わらせたのが夜の10時。夕飯に弁当を買ってあがった。気前のいい店長さんが、賞味期限が近い蜜柑ゼリーをナイショでくれたので、今日のディナーは少し豪華になりそうだ。
イヤホンをつけて自転車に跨がる。


「寒いなー」


12月23日。学校も終わって冬休みに入った。
クリスマスだと騒ぐ世界の中で、一人暮らしをしているウチは一人のんびり借りて来たCDでも聞くんだ。
両親は外国だし友達は彼氏とデート。

別に慣れてる。今までもそうだったしね。


昨日親から国際電話でクリスマスプレゼントに欲しい物を聞かれたけど、特に何もなかったから「なんでもいいよ」と返した。多分25日には服とかが届くと思う。

(今更、プレゼントなんかいらないよ…)

バイト代に仕送り、これだけあれば十分に欲しい物は買えてしまう。


現に、今日は今まで欲しいと思っていたものを買ったのだ。


最近ネットで人気がある、『VOCALOID』。
音楽を愛するウチが、手を出さずにいられるわけもなく、冬休みに入って暇もできるだろうこの時期を選んでようやく今日購入した。
初音ミクと、どちらにするかかなり悩んだ末に買ったのは鏡音リン・レン。女声男声、両方使えるというところに魅力を感じたのだ。

バイトに行く前、インストールをしたままで来た。帰ったら当然終わっているはずだ。
作詞した歌ならそれなりにあるから、とりあえず音楽はおいといて、歌だけでも歌わせようかな。


そんなことを考えていたら、いつの間にかマンションに着いた。
一人暮らしに十分な広さマンション。ここがウチの家。
一人暮らしをすると言ったら両親が用意してくれた。ウチもなかなかに愛されて居るらしい。

最上階である8階の一番奥。ギターを弾いても大声で歌っても、文句を言われない防音設備。両親が用意してくれた家は、本当にウチに合った造りだ。

ポケットから何も付いていない鍵を出して回す。中に入ると、数時間誰もいなかったわりには温かい。暖房を消し損ねただろうか。
靴を適当に脱いでリビングへと向かうと、……おかしい、電気が付いている。しかも何やら話し声がする。

そろそろウチも年なのだろうか。テレビまで消し忘れるなんて。


リビングのドアに手をかける。



ガチャリ


おや?


いつからこのマンションの内部ドアは自動になったんだ?




「わーい、お帰りなさいマスター!」


黄色い何かが突進してきた。

なにが起きている…?



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