DEATH NOTE

□first love
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 小さなリンダが走ってきました。
「ねぇねぇ手を出して」
 自分は両手を後ろに隠して、性急に言います。
 言われた通り両手を出すと、リンダは左手をとって、小さな手の中に隠していたものをその薬指に嵌めました。 それはシロツメクサで作ったかわいい指輪でした。
「あたし、大きくなったらお嫁さんになってあげる。これはね、約束の指輪だよ」
 リンダは今嵌めた指輪を指差して、それから自分の指に嵌っている、同じシロツメクサの指輪を見せました。
「いい?約束だよ!!」


 Lは、穏やかに、笑いました。
「…はい。ではあなたが大きくなったら…」


 リンダは満足げににっこり笑って頷くと、
「待ってて。今度は冠を作ってきてあげるから!」
と、身を翻して走って行きました。
 後姿を見送りながら、「L」であることに思いを馳せます。あの笑顔を守りたいと思うのです。ハウスの子どもたちは、家族にも等しい存在なのです。
 倒れるわけにはいきません、どんな事件にも。この子どもたちが成長して、「L」を継ぐ者が現れるまでは、絶対に。



 Lは、薬指に嵌った指輪に目を落として、あえかに微笑みました。
 知っているのです。幼い憧れは、いつか本物の恋に出会って、淡い思い出になっていくことを。



―end.

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