DEATH NOTE

□nightmare
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――…ライト…
 自分を呼ぶ声が聞こえた気がして、月は振り返った。が、誰も居ない。あるのは暗闇だけだ。月は首を傾げて、光の方へ向き直った。光の先にあるもの…新世界を目指して。
――ヤガミ、ライト…
 もう一度、声がした。歩みだそうと出しかけた一歩を止めて、再び振り返る。
――…ヤガミライト…キラ…
 暗闇の中で何かが蠢いている。ライトは目を凝らした。ぼんやりと、人の顔が浮かぶ。長い黒髪に縁取られた滑らかな輪郭、整った顔立ち。
「南空ナオミ…?」
――キラ…よくも…殺したな…
 暗闇から現れる、何人もの人々。僅かだが見覚えのある顔ばかりだ。それは今まで、キラとして月が裁いてきた犯罪者達だった。
 月は息を呑んで、半歩後退さった。
 裁かれた筈の人間達が、暗闇から次々と湧き出てくる。皆、見つめる先は一点…月だ。恨めしげな表情で月ににじり寄る。その首に手を絡ませてきたのはウェディだった。
――キラ…夜神月…何故殺した…?
 首に指が食い込む。両手を上げ、腕を掴んで止めようとしたが、その手はぬるりと滑って握れなかった。月の手が触れたウェディの腕には、生々しい血の跡が残った。
――おまえの手は、我々の血で汚れている…
振り払おうとしたが、既に月の体は何人もの犯罪者達によって取り押さえられ、身動きひとつ出来ない状況だった。
「…や、やめろ……やめろ!」
月は端正な顔を歪めて、必死に叫んだ。
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