DEATH NOTE

□birthday-N16
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「ほら」
 目の端に写った青と、どうやら自分に向けられたらしいぶっきらぼうな声。
「なんですかメロ」
 声をかけたくせに顔はそっぽを向いているメロに答えて、ニアは視線だけをそちらに向けた。青い箱を持った手をこちらに伸ばしている。
「今日はおまえの誕生日だろ。だから、ほら…」
「誕生日プレゼントですか。メロにしては気がききますね」
 ニアはいつものように余計な事を言って、少し笑った。メロがムッとしたように口をへの字に曲げる。
「いらねぇならいいよ」
「いえ頂きますよ。開けてよろしいですか?」
 両手を伸ばしてプレゼントの箱を受け取ると、ニアはメロが答えるのを待たずリボンを解いた。
 蓋を開けると

 びょーーーん

 中から、舌を出した変な顔の人形が飛び出した。
 ぽかんとしたニアを見て、メロが大笑いする。
「やーいひっかかってやんの!ニアのばーーーか!!」
「メロ…あなた、びっくり箱って…どれだけコドモなんですか…」
 憮然とした表情で呟いたニアに、メロが笑いながら反論した。
「誕生日がきたって俺の方が年上だからな。だいたいこんなんに引っ掛かるヤツのがよっぽどコドモなんだよ」
「実際年齢ではなく精神年齢のことを私は言っているんです。もういいです。私はチョコは別に好きではありませんが、冷蔵庫にあったあなたのチョコ、あれを代わりにいただきます」
「あっおまっ!好きじゃないなら食うな!!報復の為だけにって、性格悪いぞ!!っていうか、好きでも食うな!!」
 キッチンに向かうニアを、メロは慌てて追った。

 二人が去った後に横になって落ち捨てられた箱を、ゲームをしながら二人の様子を面白半分呆れ半分で観察していたマットは一応拾った。
 中を見て、思わず苦笑いした。

 しばらくすると、苦虫を噛み潰したような顔でニアが戻ってきた。メロとは喧嘩別れしたのだろう。
「チョコ食ったのか?」
「いいえ、別に要りませんし。私は誰かさんのように子供ではありませんから」
 苦笑して、マットがニアに箱を差し出した。ニアはより一層不機嫌な顔で「それも要りません」と言ったが、マットは「いいからもらっとけよ」と無理矢理ニアに箱を押し付けて行ってしまった。
 ニアが仏頂面のまま箱に視線を落とすと、びっくり箱の仕掛けが外れて先程は見えなかったものが見えていた。二重底だ。
 中身を取り出すと、リモコン操作で動くアヒルのおもちゃだった。カードが入っている。

『これはおまえの為じゃないからな。
たまたまあったけど、俺はこんな子供っぽいおもちゃは要らないからやる。
―――Happy Birthday――― 』


「…素直じゃありませんね」
 俯いてニアは、一人、呟いた。

「ありがとう、なんて言いませんからね」



―end.

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