Dream
□不意打ちに赤面
1ページ/1ページ
珍しく授業を一度も寝ないで起きていた時の事だった。隣には不破くんがいて、ぐーすかぴーと何とも気持ち良さそうに寝ていて。先生はもう諦めているのか、一回名前を呼んだだけですぐに黒板へと向き直ってしまった。
きっと先生達は、この学校のバスケ部の厳しさを知ってるから何も口出ししないんだと思う。あれ、でも峯田くんは怒られてたから本当に諦めてるだけなのかな。まあ、どっちでもいいけど。
そう、で、本題。あたしの隣には不破くんがいる。煩くてアホでサボリ屋で底なしに明るくて単純なバスケバカ。そんな彼は、所謂あたしの初恋の相手というやつで。初恋は実らないとはよく言われたものだけど、その初恋を実らせる為にあたしは日々奮闘中なのだ。
バカだなって誰もが言う。他にも選択肢はあっただろう。初恋を棒に振る事ないよって。たぶん皆あたしの事を思って言ってくれてるんだ。だって理由ならいくらでもある。まずは、住む世界が違うということ。あたしはスポーツもろくにできないただの凡人。不破くんは天才とも言えるくらいバスケがうまい人。最終目標とやらが、果て無き場所にある人。
けどどうしようもないの。一度彼がバスケをしている姿を見てしまったら、誰だって虜になるでしょう?あ、それはライバルが増えるだけだから同意してくれなくていいけど。つまりは、どうしようもないくらいに好きになってしまったという事。休み時間に笑顔で飴をくれた時だって、嬉しくて心臓が壊れるかと思った。
だから、ね。
「…すき、」
思わず口からこぼれ出る。けどきっと誰にも聞こえてない。だってそれくらい小さな声で言ったから。ましてや隣で爆睡してる彼になんか…―――
「俺はアイシテルべや」
「っ?!」
ああ、反則だこんなの。
不意打ちに赤面
(お、おおおお起きてたの?!)(そっちがあんまし見つめてくるから起きちゃったや)(ああああああ///)(かーわいーv)
090507