りくえすと

□作戦f
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「あーもうわかんないっ」



あたしはシャーペンと課題のプリントを投げ出した。



「…課題多すぎだよ」



机の上には、さっき放り投げたプリントの他に三枚、「数学」と書かれたプリントが乗っている。



あたしは今日の小テストで
クラスで一人だけ不合格だった。
だから誰も居ない教室で一人、ペナルティの課題をやらされているというわけだ。


しかもそのプリントというのがこれまた難しい。

基礎が出来てないあたしに解けるレベルじゃないよ。絶対。





あたしはガタンと席を立って、
窓のところまで歩いて行った。

…そう、あいつの姿を探すために。


窓からは丁度テニスコートが見えた。

今日もやってるかな、と、あいつの姿を探す。





「…あれ、お前何しとん」



『…え?』



突然背後から声をかけられて、ばっと振り向く。

その声が、
聞き慣れたあいつの声に聞こえて。


『し…しらっ白石!』


「何どもっとんねんお前」


それは、たった今あたしが探していた彼だった。


「ああ、補習か。
あんな簡単なテストでアホやなーお前」


『う、うるさい!』



いつも顔を合わせれば嫌味を言ってくるこいつ。

でも、そんな白石が好きなあたしは相当Mなんじゃ…
…いや、なんでもない。
そこは考えないようにしよう。



『し、白石こそ何しに来たのよ』


「忘れ物。ほら、これ」


白石は自分の机の中から、テニスのグリップテープらしきものを出して見せた。



「…ほな、俺いくわ。
せいぜいべんきょがんばりや」


『え、えっ!!』


「…何やねん」



正直、まだ此処に居てほしい。
でも、言えない。
そんなに素直になれない。

だけど、一向に進まないあたしたちの関係を変えたい。
あたしは思い切って言った。



『し、白石、

べんきょ、教えて!



そして言ってから気づいた。
こいつ、部活あんじゃん。

しかも声裏がえった。

あたしは恥ずかしさから真っ赤になった顔を見られたくなくて俯いた。





「…しゃーないなあ…


…ええよ」





返ってきた予想外の答えに勢いよく顔を上げると
さっきまで遠くにいた白石がすっごく近くに来てて、



その顔は、
物凄く楽しそうに、サディスティックに笑っていた。



早くも、今言ったことを後悔した。
あたしの身が危ない!



『…え、あの、』


「いーっぱい勉強しよな!」


『いや、あのあの、
ほら白石部活!』


「今日は自主練やねん、
早くやろうや」



『ちょ、

近づかないでええええ!










べんきょ、教えて




(ほーら保健の教科書出してみー)

(数学教えてください!)






ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.02.07 Dear:杏

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