『わーすごい雨』
雨が激しく降る放課後、
あたしは友達と窓辺にいた。
「台風並みかもね、
今日歩き？」
『うん…
でも車呼ぶから大丈夫！』
「車すぐ来るの？」
『うーん…
あと二時間くらいは…』
「あたしこれから部活だけど、
ひとりで大丈夫？」
『うん！
こんな天気だし、
きっと誰かひとりくらいは
仲間がいると思うから』
「そっか。
じゃあまたあした」
『ばいばーい』
あたしは部活のある友達と別れ、
ひとり席に戻った。
ふと周りを見回せば、
続々と荷物をまとめて
教室を後にする級友たち。
…あれ？
…いるよね？車組。
「ばいばーい」
『あっうんばいばい…』
…あれ？
車組…いなくね？
「白石ー
部活いこやー」
「あー
俺ここで着替えてから行くわ」
最後に残ったのはテニス部の二人
まあその片方を、
あたしはすきだったりするから
結構焦ってる。
いくらすきなひとでも、
さすがに同じ室内で
着替えとかされたら
どうすればいいのか分かんないし。
「じゃあ先部室行っとるで」
「おん」
…忍足が出て行ってしまった。
これ完全に気まずいな…
白石ジャージ出してる。
仕方なく、
あたしは課題でもやろうとスクールバッグに手を突っ込んだ。
…そのとき。
ピカッ
『うわ…』
空にピンク色の稲妻が走った。
やべ…雷きらいなんですけど。
…どうしよう。
「すごい雷やな…」
白石がつぶやいた。
『しっ白石は部活？』
あたしは
教室に二人きり＋雷
という状況に焦って、
もう分かりきってることを白石に尋ねた。
あー馬鹿…
「ん？おん…
今日はこんな天気やから
校内で走り込みやねん。
お前は迎え待ち？」
『う、うん…』
…だめだ、
白石こっち見てくれてるのに、
あたし白石の顔見れない。
顔真っ赤だよ、自分！
「…ほな俺行くわ。
気ｨつけて帰りや」
『え、白石もう行くの？』
「一応部長やしな」
あたしが
行かないで
って言おうかどうか迷っていると
ピカッ
…また遠くの空が光った。
そしてまたゴロゴロ。
『しっ白石！』
あたしはとっさに立ち上がって
白石の名前を呼んだ。
『ひ…
ひとりにしないでっ！』
雷がゴロゴロいってる中、
今度はちゃんと白石の顔をみて、
あたしは言った。
「…なんで？」
『…え？』
「なんで俺なん？」
『え、いや…あの。
…あたし雷苦手で！
車来るまで
一緒に居てくれたらなー…と。』
あああ！
自分馬鹿！
意味ないじゃん
そんなこと言ったら！
質問にも答えてないし！
…なんで、
すきって言えないんだ。
「ふーん…
……ま、ええか」
『え、ぶ、部活は？』
「明日適当に理由話しとくわ」
『あ…ありがとう…』
時間差で顔が熱くなってきた…
「どないする？
図書室でも行くか」
『あ、うん…』
白石に言われるがまま、
図書室に向かった。
図書室はあたしたち以外
誰も居なかった。
「俺本探してくるわ」
『あ、じゃああたしも行く』
あたしたちは二人で本棚へ。
背中合わせで本を探す。
ピカッ
『ぎゃーまた光った！』
数秒後、
すごい地響きと一緒に
電気が消えた。
「あーブレーカー
落ちてもうたな」
『うそおおおお！
ちょ、白石どこｫｫ！！』
「落ち着きや、後ろに居るわ。
…あー、本棚倒してもーたー」
『Σええええ！』
「…あー、こっちも倒してもーた」
「何してんの？！」
本棚ってそんな軽かったか？
どさどさどさ
本棚と一緒に倒れてきた
本が落ちる。
やべ、これ下敷きじゃね？
あれ、もしかしてあたしだけ？
…あれ、いじめ？
「…やっぱ本棚て重いなあ」
何故か
同じ空間から聞こえてくる声に
ばっと振り向くと、
本棚と本棚が重なって出来た
ちょうどいい隙間の中で
あたしの頭の両脇に手をついて
事実上あたしに乗っかってる
…白石。
「大丈夫やった？」
『いや、うん、
…退こう？』
「無理やねん、ほら、
本棚おもーい」
『いやあんた、
さっき自分で
倒してたじゃないですか』
「腕怪我しとるもん、
ほら包帯」
『それいつもじゃん』
「……まあ朝までよろしくや」
『…あれ？もしかして？』
「教師が気付かん限り……
…ま、ええやん、案外楽しいし」
『(心臓がもたない！)』
ひとりにしないで
（一緒に居ったるでー
…朝まで）
（せんせｪｪｪｴ！
誰かｧｧｧｧ！）
予備電力とか考えない(^ω^)
ThaNk Y0u F0R ReQueSt!
2009.03.17 Dear:あかねさま