りくえすと

□作戦h
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ち と せ ー !
今日も応援に来たよー!
部活がんばれー!』



「……はあ」




あたしは今日も、だいすきな千歳の応援をしにテニスコートに来ていた。
毎度のことながら、千歳はすでに呆れ顔。

あたしの大声がはずかしいんだって。
でもそんなこと言ったら、
いつも集団の中で頭二つ分くらいとびでてる千歳のその身長もだいぶはずかしいと思う。

そんなとこもだいすきだけどね!














「…あ、ジャージ忘れて来たたい」



「ホンマ?
あーその服でテニスしたら、白石くん怒るでー」




…千歳と名前も知らない三年男子の会話。

千歳ジャージ忘れたんだ…





「なあ」





ぼーっと二人のやり取りを見ていると、突然千歳が立ち上がってフェンス越しに話しかけてきた。




『なに?』



あたしは千歳が話し掛けてくれたことがうれしくて、しっぽをふりふり。



…なわけはないけど、
無表情だったあたしの顔は一気に笑顔で輝いた。




「お前、一組まで行って俺のジャージ取ってきてくれん?」



『…え』




期待はずれのひとことに固まるあたし。

千歳のことはすきだけど、
パシリじゃないぞ、あたしは。




「部活もうすぐ始まるけん。

俺の席ばわかっとると?
真ん中の列の一番うしろたい」




いつも四時に始まる部活―

今は…

…三時五十分。





『ちょ、ちょっと待って千歳、
まだ部活始まるまで十分あるじゃん。
その間に取ってこれるよね?』




「……はー……



……仕方ないばい」




…やべ、嫌われた?

どどどどうしよう、
パシリにでもなんでもなれば良かった!




「…行ってくれたら、今度家に招待しようと思ったたい…


…ばってん、仕方なか…」



『行く!行く!
嘘だよさっきの!
行きたい!』



「あ、そ。

じゃあ頼んだばい」



『……………………』




…なんだ、これ。
このうまく利用された感…




「部活始まるまでに持ってきてほしいたい」



『……行ってきます、』




そこからあたしは猛ダッシュで校舎の中へ。




途中で白石に会って、「何しとんの、」って声かけられたけど、無視。

今は白石の相手してる暇はない。




「…あれれ、無視〜?」




ズシャシャシャシャシャ




しかしそこで、
相手にされなかったことで怒った白石に足を引っ掛けられてヘッドスライディング→



顔面強打→



保健室→



→3年1組



→テニスコート




『お待たせ千歳!
はいジャージ!』



「…その湿布はどぎゃんしたとね」



『白i…
…なんでもないよ!』



白石がすかさずこっちを見たので、あたしは寸前のところで言葉をにごす。




『お…お家招待券は?』



「なんば言っとっとね?
部活はもう始まっとるからなしたい」



そんな…!!
じゃああたしの、
ヘッドスライディング(不可抗力)してまでこのたけのこジャージを取りに行った努力は何!




「…しかし、」



『え?』



「女子の顔に傷ばつくらせたのはあやまるたい。

…痛いとね?」





…いつだって、
ほんとは優しいんだ、千歳は。

顔に傷つけたのは白石だけどね!




『…痛くないよ、

でも…
こんだけがんばって取ってきたんだから、ほめてよね!
頭なでて!』



「よーしよしよしよし」




千歳はまるでムツゴロウのごとく、あたしの頭をくしゃくしゃになるまでなでた。




「お前の頭は手のひらサイズたいね」






違うよ、千歳の手がムツゴロウサイズなだけだよ。










あたまなでなでして




(ムツゴロウサイズって
なんだろう…)

(従順ってよか響きばいね)






なんだか
よくわからない\(^o^)/





ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.03.19 Dear:雷華さま

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