りくえすと

□作戦o
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退屈な数学の時間。

隣にはだいすきなきみ。



…だけど。



『くしゅん!…っくしゅん!
ちーん!』



…あたしは今風邪気味で
苦しんでいる。


好きな人の隣で鼻水かんだりするのは、かなり恥ずかしい。




「さっきからくしゃみ連続やん。
大丈夫か?」



『うん…なんかだるい…
寒気がする』



授業中だから小声で話しかけてくれる彼、蔵ノ介。


心配してくれて嬉しいんだが、
鼻水が止まらない時って、すごいひどい顔じゃん。

素直に喜べない。



「保健室とか…」



『あー大丈夫大丈夫!
あたしまだいけるよ!』



「いや何が」



保健室など行ってたまるか。
ただでさえ貴重な、あんたの隣にいられる時間なんだから。



「先生ー
隣のひとが苦しそうでーす」



『…えっ?!』



突然、蔵が挙手。
先生にあたしのことを
うったえている。



「…ホンマや、お前顔色悪いで。

白石、ちょおそいつ保健室連れてってくれんか」



「了解っす。…行くで」



あたしは先生の同意のもと、
白石に手を引かれ保健室へ。

ちょ、なんだこの状況は?







「…出 張 中…やて」



やってきたはいいが、
保健室の扉の前にはその三文字。

先生いなきゃ仕方ないよね…



『…いーよ、
あたしもう大丈夫だよ。
だから教室戻ろ?』



「んー…」



なんだかなかなか
納得しない蔵ノ介。



「…なあ、
ヘアピンとか持ってへん?」



『…あるけど。
ピッキングとかやめてよ?』



「ええから貸し」



言われるがままヘアピンを渡すと
やはりカチャカチャとやりはじめる蔵ノ介。

おいおい…



「…よっしゃ開いた!
ほな入ろか」



…ほんとに開けたよ。
これ見つかったらやばいぞ…



「ほら、毛布。あと風邪薬。
これ飲んで寝とったらええやろ」



『あ、ありがと…』



あたしは毛布と薬を受け取り、横になる。



「……ほな俺行くわ。
まだ授業中やし」



『ええっ?!行くの?!』



勝手にピッキングしたのは蔵なのに、あたしだけ残されてはこまる。

先生が戻ってきたときどうすればいいんだ!



「…なんやねん」



『………………………』



…や、具合悪いし、
そばにいてほしいのは本当なんだけどね?

さすがにそれは…言えないし。



「…ほな」



『ま、待って!』



「…何?」



『あ、の………は、
はなれたくない…の…』



…勢いで言ってしまった。
あたしは恥ずかしくて恥ずかしくて、がばっと毛布をかぶる。



「…ええよ?」



『……え、あ、
…うん、ありがと…』



返ってきたのは案外あっさりとした答え。

あたしは毛布から顔を出した。




「でもええの?」



『え?』



「離れない=添い寝

…やで?」



『…っええ?!
ちょ、それは違うんじゃ』



あまりにも勝手すぎる等式を成り立たせる蔵。

…ちょっと理不尽じゃないか。




「でもそれがええって言うんなら仕方ないなあ…

よいしょ」



『ちょ、行動がはやい!』











はなれたくないの




(…何してるのあなたたち!
な、なんて破廉恥な…!)

(あ、先生おかえりなさい)

(誤解しないで先生!)






いつもこっち方向に
走る\(^o^)/





ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.05.03 Dear:呉葉さま

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