りくえすと

□作戦j
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ある日の夕方。
うまく約束をとりつけて、後輩の光と二人で帰る約束をしたが、
あいにく外は“大”がつくほどの雨。


お天気おねーさんは今朝のニュースで、


『今日は一日中ピクニックに行きたくなるほどの快晴です!』


…と言っていた。

あたしは今日ほどあのキレイなおねーさんを恨んだ日はない。



『光…かさとか持ってる…?』



「……やって今日の天気予報、
晴れ言うてたし…」



うん、
つまり持ってきてないんですね。


雨は止む気配を見せない。
結局あたしたちは雨の中、
仲良く(←勘違い)家まで全力疾走したのだった。



「…あ、俺んちそこっすわ」



光が走りながら、少し先にあるT字路の右側を指差して言う。



『あ…じゃあここでさよならだね。
あたしあっちだから。
また明日』



雨のため無言のうえ全力で走ったので、実質一緒にいた時間はみじかすぎる。

自分で言った言葉なのに、なぜか“さよなら”という言葉が無性に寂しく感じた。
“ばいばい”にすればよかったと後悔した。




「…や…先輩の家、だいぶ先でしたよね。
こんな雨やし、傘なしで帰すんはちょっと…」



…今光がちょっと、いやかなり嬉しいことを言ってくれた。

あたしはなんかドキドキして、光の目を直視できずに光の後ろの壁の落書きを見ていた。




「雨宿りして行きません?」



傘貸すし、と光は付け加えて、家の門をくぐった。



あたしも



『いいの?』



と言いながらもうすでに玄関の中に侵入している。



「気にせんでもええっすよ。
今誰も居らへんから」








…………………誰もいない?


……イコール……二人きり?!



『うううううん!
ありがとおじゃまします!』



あたしはその甘い響きにかなり動揺しながらも、脱いだ靴をきれいにそろえてから光のあとを追いかけた。



「取りあえず部屋きます?」



光の問いかけにうん、と平静を装いながらも、実際は心臓ばっくんばっくんだった。




「…汚いっすけど、まあ適当に座ってください」



光に促され、入った部屋はめちゃくちゃきれいだった。


き、汚…っ?!
日本語はよく考えて使おうぜ光くん!

…とリアルに叫びそうになった。



あたしは衝撃により、自分がずぶ濡れなのも忘れてベッドに飛び乗った。

それを見て光を少しいやな顔をしたけど、バッグを置いて部屋を出て行った。



その間あたしは座り直し、部屋の本棚を物色。

それは本棚と呼ぶよりCD棚と呼んだ方が正しいと思えるほど、CDの比率が高かった。





光が戻ってきた。



「これ紅茶。…と、タオル」



と言って、ステンレスのお盆をテーブルに置いてバスタオルをあたしに渡す。
あたしはそれをありがとう、と言いながら受け取る。



『光って、音楽いろいろ聞くんだね』



あたしは体を一通りふいて、
温かい紅茶を飲みながら言う。



「ああ………まあ、ね」



あらら、意外と素っ気ねー。

あたしは軽くショックを受けながらも、話を次の話題へと変える。






『エロ本とか、ないの』





どうやらこの時あたしは爆弾発言をしてしまったらしいことは、あとから気づいた。



「…有ったらどないするんです?」



…逆に聞き返された。



『さあ〜…
……内容によっては、襲って、っていうか押し倒して…みたいな(笑』



あたしは

光、もっとあたしを意識とかしてくれないかな〜

…とか淡い期待をのせて言葉を放った。
最後に(笑)がついてしまったことが不可解だった。



「…大胆っすね」



ははっと乾いた笑いで逃げる光。

残念、あたしの思いは光に届かなかったようだ。


…やべ、引かれちゃった…

あたしは尋常じゃないショックを受けた。





彼は、逃げた。





……ように思われた。




『…えっ…えっ!』



ぐいーんとゆっくり反転する視界。
腕は光に掴まれ、
脚をばたつかせようが光が下半身の上に乗っかっていて動かない。


まさに“押し倒された”状態。


「…待ってました」



そう言い、光は笑った。











押し倒して




(うわああああ!
どうしよう、どうしよう!
いや、誘ったのあたしだけど!)

(せーへんよ、最後までは。
続きは大人になってから)







ひかるくん、意外と健全(^ω^)
「お酒は二十歳になってから。」みたいになってる\(^o^)/





ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.05.06 Dear:涼夜さま

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