りくえすと

□作戦d
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『「あ。」』



昇降口で鉢合わせた彼は、ちょっと髪が短くなっていた。



『おつかれ。部活?』



「おん。お前は?」



『あたしも部活。
それより髪切ったんだね』



夏休みに入って、しばらく顔を合わせることのなかった謙也。

男テニとあたしの部活では夏休み中の日程が違うので、会いたくても会えなかったんだけど。



「ついでに脱色し直したんやで。
わかる?」



………………わかんない。



…とは言えないので、



『うん!
また明るくなったね!』



と適当に返しておいた。

どうでもいいけど、脱色って
したあと頭皮が尋常じゃなくヒリヒリするらしい。

その痛みに耐えてまで金髪をキープする謙也が、あたしはよくわからない。



「涼しいーー!!」



昇降口から出て謙也は叫ぶ。


実際、昼間よりはだいぶ涼しいが、すごく涼しいかと聞かれればそこまで涼しくはない。



「すごいなあ夏休みて!
あと1ヶ月休んでええねんで?」



『そーだねー』



…夏休みなんて早く終わればいいのに。
君の顔を見ない日なんてつまらなすぎるから。





昇降口で出会ったら
いつものごとく、途中まで一緒に帰る。

あたしはそれがたまらなく楽しみだった。



今日も例外ではなく、
一緒に帰ろうなどと誘うでもなく、二人で学校を出た。







当たりはもう真っ暗。



『…ね、ちょっとここ、急ごう』



「は?何でやねん」



『ここ……出るんだって……
……お化け』



一瞬の沈黙。



「ああああアホなこと言うてんなや!
ほら!お前が変なこというから汗かいてまうやん」



謙也…それ冷や汗だよ…



「ええか?
そーいうもんはな、意識するから居るように見えんねん。
意識せんと居らんもんは見えんねん!」



謙也の嘘かほんとか定かでない話を聞きながら、背中にぴったり張り付いて歩く。



そのとき。






コツン






後ろから突然、今まで聞こえなかったはずの人の歩く音がした




…気がした。




『けけけ謙也!
手つないでもいい?!』



「…えっ?!」



謙也は心底驚いた様子で振り向く。

あたしは恐怖のあまり言うべきではないことを言ってしまったのだ。


ああ……失敗した…。
言ってから後悔、うつむく。






「…え、ええけど!…別に」



あたしはうつむいた顔をばっと上げた。

そこにはそっぽを向いた真っ赤な顔。



「つ、つなぐんやったら早よ手だしや」



つられて真っ赤になるあたし。

さっきの最後の一言が気になるが、あたしは素直に手を差し出した。




後ろの足音は、いつの間にか聞こえなくなっていた。










て、つなご?




(謙也、手汗が…)

(やばい、緊張と恐怖で
滝のような汗が)






すいません。
なんか…すいません。
せっかくリクくれたのに、スランプから抜け出してなかったようです…

最後謙也なんかツンデレぽくなってるし…

へたれからツンデレへの変貌、すごいですね尊敬します(^ω^)

あっ怒らないで!
ちょっとふざけただけ!


何はともあれ、感想とリクをくれたRokiさまには感謝です!





ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.08.04 Dear:Rokiさま

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