りくえすと

□作戦q
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いつも通り学校に来て、
いつも通り教室のドアを開ける。

でも今日のあたしはいつもとちょっと違う。








『おはようっ!』



「おはよー……あれ?
今日なんかいつもよりかわいい!」



ふふん、そうだろうそうだろう!

調子に乗って、一人優越感にひたる。



『ちょっと髪巻いて、まつげ上げてみたんだー』



「へー!すごい似合っとるで!」



クラスの女の子たちが、かわいいとほめてくれる。
それも嬉しいけど…

…あたしは自分の席に向かった。


今日、特に何があるわけではない。
ただ…あいつにかわいいって言ってほしくて。

隣の席のあいつに。







『おはよ、財前』



あたしは平静を装って席に座った。
財前はいつも通りiPodで音楽を聞いている。
そしてちらりとこっちを見て、



「…はよ」



………あれ?



『……うん……』



………あれれれ?



いつもと違うどころか、全くいつも通りなんですけど…



…あ、もしかしたらあんまりよく見えてなかったのかも!

こっちを見てほしくて、必死に話題をふる。



『ねえ、昨日の部活は何したの?』



「…は?何、急に」



財前はだるそうにイヤホンを外して、こっちを見る。



『いや……なんとなく』



「……昨日は月曜日やから練習なかったけど」



『……あ…そか…』



会話終了。
なにこれ……ぐだぐだ。

てゆうか!
今明らかにしっかりこっち見てたよね?


……スルーですか?



『……いいよ。もう』



あたしは席から立ち上がる。
こいつ、鈍感すぎ…



「は?…ちょ、おま……」



横から財前が何か言いかけるけど、もう知らない。

あたしはつかつかと教室の出口に向かって歩き出した。





隣のクラスの友達のところへ行って、ストレートアイロンを借りる。
あたしの髪を見て不思議な顔をする友達を尻目に、あたしは女子トイレに向かった。


…追いかけて来もしない。
いや、別に付き合ってるとかそういうのじゃないし、あいつの性格からして、追いかけてきた方がびっくりだけどさ。







『…今日はきれいに巻けたのにな』







朝のHRが始まり、誰もいなくなった女子トイレの鏡の前で、つやつやにウェーブのかかった髪をまっすぐにしていく。

…なんか、勝手に頑張って空回って、勝手に機嫌悪くして、……まるであたしピエロだな。

よく考えてみたら、こんなの大したことない。
それだけ相手にされてないってことだし。

そう思ったらまた、悲しくなった。







教室に戻るとまた友達が集まってきて、



「大丈夫?」

「具合良くないん?」

「あれ、髪戻したん?」



などと声をかけてくれたが、それもすべて適当に返す。


一限が始まるまであと少し。
ちらりと席を見ると、隣の席に若干驚いた顔の財前がいた。


あたしはまた平静を装い席に着く。
隣からの視線が痛いのは、きっと気のせいだと強がる。



そして一言も話すこともなく一限が始まり、国語の先生が入ってきて授業を始める。

そして10分、20分と時間は過ぎ、授業が終わるまであと五分となったとき。





「…髪、戻したん」





…何をいまさら。
さっきはその話にふれもしなかったくせに。

あたしは当然のごとく無視する。




「…もったいな。











かわいかってんに」







バサバサバサ!







机に乗っていた教科書、辞書などが一斉に机から落ちる。

それらを拾うのも忘れて、あたしの視線は彼から離れない。









『…いま何て?』













「…さあ。…二度は言わん」





…いつもなら『は?何それ!』ぐらい言うところだが、そのあと下を向いて教科書を拾い集めるあたしは、今までになく笑顔だった。













かわいいって言ってよ




(…巻き髪って、ええかも)

(明日また巻いてこよっと!)











財前が、つんでれかもしれない。←

てゆうか今回また
おねだりしてないね\(^o^)/





ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.11.12 Dear:里奈さま

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