りくえすと

□作戦y
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あたしは光がすきだ。
そんな光はそれにまったく気付かない大馬鹿者だ。

だからあたしは最近、光の先輩の忍足先輩と接触をはかり、密かに恋愛相談をすることにした。







to.忍足先輩
無題

“ごめんなさい、今日も話聞いてもらえますか?”




朝のHRの時間帯だけど、忍足先輩からはすぐに返事が返ってくる。
初対面で「スピードスターて呼んで!」って言ったのは伊達じゃないみたいだ。
本気で呼びにくいので、当たり前に名字で呼んでいるけども。






from.忍足先輩
無題

“おん!
今日は部活ないから、いつでもええよ!”








「…さっきから誰とメールしとるん」



隣からだるそうな声が聞こえてくる。
言わずもがな、光である。




『忍足先輩』



「…ふーん」



興味なさそうに、ふいと視線をそらす。



「…謙也さんとなんかよう仲良くできるな」



『失礼な!
忍足先輩優しいよ!』



…感じ、悪すぎ。


まあ、こいつはいつもこんなんだけど。

もっと言えば、あたしはこのひねくれた性格に悩まされてるわけですが。


…脈なしって悲しい。


てゆうかこいつ、先輩馬鹿にしすぎでしょ。



「まあ、頭足りてへんあたり似た者同士やけど」



『……………………』



さすがにこれはあたしもむかついた。


…ここ最近、いつにも増してあたしに対する態度がツンケンしてる。

ちょうど、忍足先輩とメールし始めたあたりから。


…まさか忍足先輩、余計なこと言ってないよな。

ていうかむしろあたしが何かした?







その日の放課後もまた、忍足先輩にたくさん話を聞いてもらった。
誰にも聞かれないようにこの教室で二人。

今度何かお礼しよう。




そしてその次の日。



『おはよ、光』



「……………………」



…光、口を開かず。



『…何?何のいじめ?これ』



「……………………」



“いじめ”というあたし的に計算されたボケもスルー。
というか完璧無視。

…なんだこれ。



『……………ねえ』



「……………………」



『…もしかしてあたし何かした?』



とりあえずなんか空気がいつもと違う。
なんかピリピリしてるというか…

あたしは昨日とは打って変わったその態度に焦り、現実的な質問に発言を切り替えた。




「……………別に」



…目も合わせない。
どうやら本気で怒ってる……
……いや、これはもうキレてる。




『嘘でしょ、なんか怒ってるよね?
言わないとわかんないから』



「…わからへんの?」



やっぱり…
…いつもより声のトーンが低い。


あたし…嫌われるようなことしたかな。




「昨日のことでもよーく思い出したらわかるんちゃう?
それとも、そこまでアホなん?」



『……………………』



今度はあたしが黙りこくる。
光こわい…





『…ごめん……あたし昨日何か光の気に障るようなことした?
したなら謝るから……

…嫌いにならないで…』





下を向いたら思わず涙が出た。
でもまだ理由は分からない。








「…ちょ、なんで泣くん」



『……ごめん……』



涙を拭いながらわけもわからず謝る。
ああ、なんかもうぼろぼろだ。

光がこっち見てる。




「…嘘や。」



『…え?』



光があたしの頭にぽんと手を置く。
あたしは頭をなでられたことよりも光の発言の方にびっくりして、顔を上げた。




「だから、嘘やて。
…もう怒ってへんから。
せやから……


…泣くんはやめろ」



光が学ランの袖であたしの顔をゴシゴシする。

あたしは訳が分からず、されるがまま。



『…ほんとに?
怒ってない?』



「おん」



『じゃあ…あたしのこと、嫌いじゃない?』



「おん」



ほっとしてまた涙が出た。
それをまた光が袖で拭う。



『…じゃあなんで怒ってたの?』



「……それは」



光が言葉につまる。












「……ちょお悔しかっただけやねん」













嫌いなんて言わないで




(…泣くとかずるいわ)

(悔しかったって……何が?)






放課後教室で二人が話してるのを目撃した光。

…というのを察していただければ(;ω;)

タイトルとヒロインのせりふに若干の違いが\(^o^)/






ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2009.11.14 Dear:なあさま

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