りくえすと

□作戦v
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『あーあ』





屋上の空を見上げため息をつく。



「…なんやねん」



隣のベンチに座っている謙也が低い声で言う。
傍らにはあたしの嫌いなレモンウォーター。


無理矢理彼を引っ張って屋上に上がり、ごはんを食べたのが昼休み。

そしてさっき、チャイムが鳴り昼休みは終わった。

つまり四時限目。



『なーんか楽しいことないかなー』



「…お前は授業のこととか気にならんの」



『だってうちのクラス、四限保健だもーん』



寝転んで見えた青い空に自分の右手をかざしてみる。


本当に今日はよく晴れてる。



「お前はええかもしれんけどな、うちは今世界史やっとんねん。
あああ、ただでさえ意味のわからん世界史がさらに分からんくなる…!」



『いいじゃん、どうせ受けても教科書に落書きしてるだけでしょ?』



そう言うと黙る謙也。
やっぱりな。


それでもここにいてくれる君は何かな、やっぱり優しいのかな?

いやうれしいけど。



『…それでさ、なんで君は隣に座らないで、そんな距離をとったベンチに座ってるの?』



「…お前がそこに寝とるからやろ」



『さっきは起きてたじゃん。
こっち来なよ』



「いや…」



言いながらレモンウォーターを一口飲む。


ペットボトルの中の透明な液体が、陽の光にあたってきらきら、きれい。

あたしそれきらい、と言うと、知っとる、と呟く声。



『なんでよ、つまんないんだけど』



「俺はお前のおもちゃやないっちゅーねん。
とにかくだめ、行かへん」



『わかった』



すくっと立ち上がり、すたすたと隣のベンチへ。



『ね、これでいいでしょ』



にっこり、笑う。

そうすると今度は謙也が立ち上がって、さっきあたしのいたベンチへと移動する。



『あーひどい…』



「………………」



無言でまたレモンウォーターを一口。
レモンウォーターは残り少ない。



『…そんなにあたしがいやですかー
そういうの傷つくんですけど…』



しょんぼり、言ってみる。



「……………」



無言で、また戻ってくる謙也。
かわいいやつ…

それでも、座ってるのはベンチの端と端。



『ね、なんで嫌だった?』



すすすと少しずつ謙也の方に寄りながら、笑顔で聞いてみる。



「…お前今日、スカートみじかすぎやねん…」



若干頬を赤らめて謙也の言うことには、あたしの脚が今日はよく見えると。

…そんなに短いか?

しかし謙也が言うなら仕方ない、あたしはスカートの丈をするすると数センチ下ろす。



『…ね、それ一口ちょうだい』



謙也のペットボトルを指さして言う。



「…たったさっき嫌い言うてたやんか」



『いいじゃん、一口だけ』



「自分で買えや」



断固として譲らない謙也。

じゃーいいよ、とそっぽを向く。
ふ、と息をついた謙也。



『…スキあり!』



「あっ」



ぱ、と謙也の手からキャップのないレモンウォーターを奪った。
そしてそのままレモンウォーターを一口、二口…飲み干した。



「おまっそれ!」



『飲み干しちゃった。
ついでに間接ちゅーゲット』



はい、と空になったペットボトルを謙也に返す。
いらんわと言いながら受け取り、そばのゴミ箱まで捨てに行く謙也。



「はー…お前なあ、そないなことばっかしとると、そのうち男に勘違いされるぞ」



『あっはは、こんなこと謙也にしかしないよー』



「はいはい、そりゃおおきに」



顔真っ赤にしながら言われても説得力ないよ、謙也くん。



『…勘違いだと思ってる時点で間違いだよ、謙也』



「は」



ペットボトルを捨てる姿勢のまま、ぴた、と止まる謙也。







『謙也のがよかったのよ』







再び顔を赤くする君を笑う。













間接キスでもいいから




(キスへはどうやって
もってこーかな)

(ちょ、その前に
言うことがあるやろ!)

(じゃ、よろしくね)

(…………)






両想いになっちゃったかんじ?

ヘタレ臭のしない謙也.
むしろ中学生らしいです(^ω^)




ThaNk Y0u F0R ReQueSt!

2010.03.14 Dear:もかさま

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