01/20の日記

12:48
黙っておいでなさい
---------------
まぁまぁ
お待ちなさい

怒鳴りかけた僕に大王は穏やかに言う。
僕は、些かムッとしたまま吐き出すはずだった言葉をごくりと飲み込み、大王を軽く睨むことで続きを促した。

今、口にしようとしたことは言わない方がいい

普段のダメな変態イカじゃなくて、冥府の王としての威厳や自信に満ちた表情で諫められ、思わず何故ですか?、と僕は問う。



鬼男君ったら馬鹿だね

大王は、微笑う。
でもそれは、冥府の王のようだけれど、ちっとも慈愛なんか含んじゃいない笑みで、僕を微笑って諫める。

照れ隠しなら
すぐに撤回なさい



俺はね、道徳、規律、風紀、様々な理を理由にして、約束を必ず守る神様なんだよ?

王座から降りることを永遠に許されぬ冥府の主、閻魔大王様から声を奪ったら

引き止めちゃくれませんよ


それは、ほんの刹那。
下唇を少しだけ噛んで、透明な雫が零れ落ちないことだけを確認して、僕は書類を差し出した。

「…今日の分の仕事です」
「ん、目を通しておくね?」





権威を纏えば愛しを追う術を失う
そんな悪い男に捕まった。









たった一度の見栄さえも、貴方は許してくれない


 

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ