07/10の日記
10:36
清しめ
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ねぇ、君は知らないんでしょう?
この胸に潜むあられもない衝動が、揺蕩う大焦熱地獄の焔のように暴れて収まらないこと。
君の快活な言動の一つ一つに触れる度に等活地獄にでもいるような衝撃を受けるし、黒縄地獄にいるように理性が灼き切れていく。
衆合地獄にでもいるような心臓への圧迫に悶え、叫喚地獄にいるような脳髄の気焔に泣き喚く。
この激情はいっそ、大叫喚地獄にでも落ちたみたいだ。
この劣情はいっそ、焦熱地獄にでも墜ちたみたいだ。
この衝動はいっそ、大焦熱地獄にでも堕ちたみたいだ。
平生、仕事にばかり熱心で、俺に対しては八寒地獄をくるりと廻り終えた後みたいに冷たい態度を貫く君が、
「大王、」
仕事が終わって、寝室までの警護も済んで、冥府の統率者である閻魔大王様の秘書でなくなる、君になる、その瞬刻、
「おやすみなさい、大王」
たおやかにはにかんだ微笑みを浮かべながら、囁かれる。
煌めく瞳の翡翠のように潤んだ緑青色も、綻びた口元の花弁のように柔らかな淡紅色も、艶やかな褐色の肌に映えて、とても美味しそう。
それは、唯一絶対なる無間地獄にも劣らぬ不可侵領域。
嗚呼、
嗚呼、もう…
鬼男くんって、可愛いんだから。
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