短編部屋

□berlicche
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「君が悪いんだよ」


陽気な声で悪魔はそう言った。


「そう。君が殺したんだ」


目の前に転がっている屍。


悪魔は白い服を着ていたのに、真っ赤だ。


私が殺したの?


目の前の屍は冷たい目でこちらを見ている。








「私が、やったの?」


そんなはずはない、と思いながらも確かめずにはいられない。


私じゃない。


だって私は見たもの。


目の前の悪魔が白い"何か"を放つのを。


「違う。私じゃない。あなただよ」


「ううん。君がやったんだ」


笑顔を絶やさない悪魔に、先程見たものが夢なんじゃないかと思えてくる。


「僕は見ていただけ。実際僕がやるつもりだったけど、君が先にやったから」


まさか、そんなはずは。


「彼氏を殺すなんて、なかなかできることじゃないよ」


私がやったの。


違う。


だけど悪魔は知ってたんだ。


私がこいつを殺したがっていたことを。


「…悪魔…こないで…」


近づいてくる悪魔に声をかける。悪魔は笑う。


「悪魔?」


「………」


「フフフ。僕のこと、ちゃんと分かってるじゃないか」

         
思わず顔をあげる。ちゃんと分かっている?
何を言っているのだろう。この男は。


まさか、本物の悪魔だとでもいうのだろうか?


「ねぇ。僕と一緒にこない?」


分からない。この男が。ついていってもいいのだろうか。

答えを求めるように屍をみる。
相変わらず屍は冷たい目でこちらを見ている。





100725
berlicche…イタリア語で悪魔という意味

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