書処
□CHAOS PANIC
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そもそも事の始まりは、第一ラウンド終了後に、這いつくばるようにベッドで伸びていたナルトの腰を、サイが無遠慮に掴んだことだった。
「ねぇ、ナルト」
「やだ。もうしねぇ」
「ボクはまだ何も言ってないよ」
「もうやらねぇ。オレはもう寝る!」
どうせサイは第二ラウンドを要求したいに決まってる!
と、決めつけられていた。
が、まさしくその通りだった。
まだ足りないよ、と囁きながらなだらかな腰のラインを滑る指を、ナルトは無造作に払いのけた。
「お前はイイだけかもしんねぇけど、オレはケツが痛ぇの!だからもう今日は寝る、寝るったら寝る!」
ナルトはおかんむりだった。
「…そんなに痛かった?ナルトはよくなかったの?」
よくないのではない。
しかし、今夜のサイは少々強引で、少々しつこかったのだ。
確かにいつもより激しく喘いでしまったナルトだったが、事後の今、半端ではない痛みが、受け入れていた場所から腰骨にまで届いている。
そのビリビリとかズキズキとか、とにかくこの後トイレで泣きを見るような痛みを味わうのは自分だけだと思うと、無性に腹が立った。
「九尾の回復力はそこには及ばないの?」
ムカッ。
ナルトは突っ伏したまま口を尖らせた。
確かに明日の昼頃までは地獄を見ても、夜にはすっかり回復していることだろう。
だが、そういう問題ではない。
自分だけが痛い思いをしていることが、どうにも腹立たしい…というか、あまりに涼しげなサイの表情が気に食わなかった。
要するに、ナルトは拗ねていたのだ。
「オレの痛みにちっとは気を遣いやがれってばよ!」
と文句を言えば、サイは神妙な顔をする。
「そうか…そんなに酷い痛みなんだね、ナルト」
「痛ぇに決まってるだろ!テメェが突っ込んでる場所は本来クソが出るだけで、そんなデカイもん突っ込む場所じゃねぇんだよ!」
話が下品になってきた。
だが、そんなことに怯むサイではない。
ナルトとはもう何度もセックスしてるから、そんなに痛いとは思わなかったよとか、君も随分よさそうだったから、遠慮なく激しく出し入れしたのがまずかったんだねとか、確かに本来は排泄するための器官だけど、君のはもう十分にボクのものを受け入れるだけ柔らかくなっているよとか、セクハラ発言が三倍になって返ってきただけだった。
「…とにかくてめーがこの痛いの治してみやがれ!何とか出来ねぇならもうやらねぇ!」
完全に拗ねてしまったナルトが、くるりと背を向けた。
さすがに今夜はもう引いた方がいいなと、鈍いサイにもわかったようだ。
「うん、分かったよ。ボクがナルトの痛みを治してあげるよ」
そう明るい声で言い放ち、それから「おやすみ」と耳たぶに息を吹き掛けながら囁くと、ナルトの隣に体重を預けた。
何か、嫌な予感がするってばよ。
呆気なく引き下がったサイの態度に、ナルトは頬を引き攣らせた。