+徒然小説+

□微妙な差(魔人学園)
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彼と話すと、何かもどかしさを感じる。それは彼にではない。
一体何故なのか。それとも僕が彼に後ろめたさでも感じているのだろうかと思った。
…分からない。如何にも不可解だ。今までこんな事はなかった。
僕は部室の鍵を締めると、夕焼けで赤く照らし出された校舎を眺めやった。
拳武館の者ともあろうものが、こんなに心動かされるとは。
冷静さを保つ訓練はいくらでもしてきた。冷静さを失えばその時点で敗北は決定的だ。
僕は帰る前に館長に会って行く事にした。館長ならば、このやりきれない思いも何とかしてくれそうな気がして。
重い足を意識しながら運び、僕は館長室の前に立った。が、気配はない。
……そろそろ夕飯の買い物もしなくてはならないし、帰ろう。くるりと踵を返したとたん。
何かが顔面直撃した。僕は赤くなった額を摩りながら、きっと前を見やる。
そこには見慣れたシルエットが夕焼けの廊下に映し出されていた。 
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