進撃 小説

□進撃の巨人 14話
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「君は黒金竹をどう使う?」


工房長室を出た途端、アンヘルはゼノフォンに話しかけられた。


「あれの加工は君にとって簡単なものではないはずだ」

「伐採するのも一苦労だったんだろうな」


枝打ちですら何本もの刃物が駄目になり、稈に至っては切る事もままならない有様だ
黒金竹を使った何かを考える前に、まずは加工するための工具と施設が必要だった。


「いっそ加工はやめて、そのまま兵団に卸すってのはどうだ?
 短刀よりずっと役立ちそうだ」


「竹光っぽいね」


「職人としての沽券に係わるけどな」

「工場都市に行けば、状況も少しは変わるかもしれません。」


ゼノフォンは瞳を爛々と輝かせ、興奮している様子だった


「君も工場都市に興味があるんだろう?」


「これでも一応職人だからな」




黒金竹という新素材に加えて、工場都市が動き出そうとしているのだから、期待するのは当然だ
会えば啀み合う間柄のゼノフォンとでも、一先ずそれを棚に上げる価値はある

彼が目の上のたんこぶなのは事実で、そりが合わないのは確かだが
職人としての腕は間違いない
その一点においてはゼノフォンを信頼していた



「まずは武器としての可能性を探るべきですね?」

「あの高度は武器にしてくれと言っているようなもんだ」


「確かに、えぇ」


「巨人の体に傷をつけることもできるかもしれない」



巨人の皮膚は人と違い容易には傷つかない
短刀が黒金竹に対して無力であるように巨人の皮膚は刃を受け付けず
例え傷を負わせたとしても数分で治癒するという驚異の回復力を持っている
これが、巨人を倒せないといわれている理由の一つである

(けど、どこまで信じていいのやら)

魔法でも使わない限り、怪我が瞬く間に治るなどあり得ない話だ

(或いは本当の化け物か)


どちらにせよ自分の目で確認しない限り疑問は解消されないだろう



「黒金竹の葉にも利用価値がありそうですね」


「ちゃんと素材を料理できればの話だけどな」

「それは私たち次第、ということで」


「せいぜい、竹光にならないよう努力しましょう」


アンヘルは天を仰ぐ仕草をした

「せっかくの興味深い素材です
 工場都市につくまでも宿題にしませんか?」



ゼノフォンは片手をあげると、ぶつぶつ呟きながら歩き去った


「開発バカめ」


アンヘルは苦笑すると、黒金竹についてあれこれと思案しつつ歩き出した






『もう出ていいかな??』



「・・・・いいんじゃないか?;;」






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