進撃 小説

□進撃の巨人 15話
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一番鶏の鳴き声が聞こえてきた
薫色に染まる車の空は徐々に白み始めており夜明けの到来を告げている

朝日が顔を覗かせるのも時間の問題だろう外気は、骨身に凍見るほどの冷たさで
吐き出される息は白く、外●を羽織っていても寒さで震えが来るほどだ
ヴェアルも寒さからかくっついて離れない


「工場都市が秘密なのはわかるが、何もこんな朝っぱらから出発しなくても・・・」

『そうだよねぇ・・うぅ、寒いよぅ〜』


大きく伸びているアンヘルに引っ付いたままヴェアルは同意した
アンヘルはなかなか寝付けづ一夜を明かし気を緩めたら眠ってしまいそうになっている
ヴェアルはしっかり寝ていたにもかかわらずアンヘルにくっついたまま半分眠りかかっている

一方、同行者のゼノフォンは元気そのものだが目は充血しており
十分な睡眠をとったのではなく寝るのを諦めたのかもしれない


「都市の建造が公然の秘密だとしても、おおっぴらにできないといったところかな」

「工場都市ってばれちゃってるんですか?」

あっけらかんとした感想を述べたのはコリーナだ
コリーナはアンヘルの助手として同行を許されていた


「どれだけ情報を制限しても、人の口に戸は立てられないからね
 反体制組織も情報くらいはつかんでいるだろう」

「政治屋がリークしている可能性もあるんだろう?駆け引きの材料として使えそうだしな」

「金のなる木です、私たちのより知らないところで色々とあるのではと」

「職人には関係ない話だけどな」

アンヘルは肩をすくめる
(準備は万全だ、後はアイディア次第だな)
リュックには武具の加工に必要な工具が詰まっており素材である黒金竹も持参している
そして、黒金竹はなんとか1mに揃えてあった
最低限ではあるが、費やされた労力と駄目になった工具の数は先の大砲を越えるだろう。

(竹光しか作れませんでしたなんて言えないよな)
そのような事態になればカスパルから大目玉をくらうだけでは済まなくなる
最も画期的な武具を作り出したとしても、それが採用されるかどうかは役人の胸三寸だ、正常にもよるだろう。
高性能すぎて見送られるという笑えない可能性もある
(巨人が倒されると困る連中もいるんだろうな・・・
 結局割を食うのは俺達ってわけか)


嘆息し、頭をかいたアンヘルはコリーナの視線に気づいた

「どうかしたのか?」

「いえ、寝ちゃいましたね彼女」

そういってコリーナはヴェアルを見た

「・・・おきろっ!!」

『う?!ったいよ!!
 も〜まだ眠いのに・・・あ、襟よじれているよ』

ヴェアルはその痛みに目を覚ますとボンヤリとアンヘルの襟元を見ていったが、それを治すとまた寝だした

「オイ!」

「あ、お迎えが来たみたいですよ」

アンヘルがつっこむそばでコリーナはそう言った
コリーナが指差した薄暗い大通りをつられるように目を向けると一台の幌馬車と四騎の騎兵が近付いてくるのが見えた

「噂の案内人だな」

兵が工場都市まで案内する予定になっていたが、まるで要人でも警護するような物々しさである。
そして、それは意外な人物であった

「ソルム?いつから御者に転職したんだ?」

「儲かるなら一考するが今のところその予定はない。
 あと彼女は寝かせてていいぞ、お前にくっついているとは思わなかったけどな;;」

ソルムはアンヘル達に前で馬車を停めると荷車を指差した


「乗り心地は保証しないが、現地までの安全は約束しよう」

荷者には幌が付けられていて、天候の影響は受けないがかなり揺れるのだろう

「こいつどーにかならいないのか?」

「・・・無理だな、彼女は一応王家のものであるから、俺が何か言う権利はない」

「王家の人間だったのか?そうは見えないが」

「壁の守護者だと聞いてる;;」


アンヘルはいまだ眠るヴェアルを見た

「てことは、だいぶ年いってることか・・・?

「そうなるな;;」

「はぁ、酔い止め飲んでくる」

ため息をつくと、リュックを荷車へと放り込んだ



「一体何歳なんだ?」



『・・・』





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