進撃 小説
□進撃の巨人 16話
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シンガシナ区と各街をつないでいるのは未舗装の街道である。
『ウォール・マリア』の補修と補強にあてられており
道の舗装にまで資材を回せてないのが実情だ
もっとも主な移動手段が馬であるため舗装されていなくても不便はなかった
街道の中にも主要となっている幾つかの道があり、
シンガシナ区とトロスト区を結ぶ幹線道路は交通と交易の要である
トロスト区とは『ウォール・ローゼ』南端に位置する街の名で、その構造はシンガシナ区を同様だ。
『ウォール・マリア』が陥落した際には最前線になる場所だが
現状では内地なのでシンガシナ区ほど巨人を意識する場所ではない
「本日の行程を簡単に説明する」
ソルムは馬車を進めながら話した
「まず、我々はトロスト区を目指す。
五、六時間の行程だ、到着するころには昼飯だな」
「食欲があれば、の話だろ」
アンヘルは吐き気をこらえて呟いた
『ご飯!』
ガバリと起きてそういうとヴェアルはパタリとまたアンヘルにくっ付いて動かなくなった
「・・・ねごとか?」
「みたいだな;;」
シンガシナ区を出発して30分ほどだが、早くもアンヘルは乗り物酔いでノックアウト寸前だ。
三半規管に狂いが生じているのか、視界はひどく揺らいでいる
吐かなかったのは上出来だが、この先も我慢できるとは限らない。
同行者であるゼノフォンとコリーナはアンヘルより重傷で、真っ青な顔でうめき声をあげていた
彼らにとって昼飯の話は拷問と同じである。
「とにかく、トロスト区で休憩を挟み
その後、工場都市へと向かう」
「どれくらいかかる?」
「数時間といったところだな」
「そりゃ最高だ」
アンヘルは深いため息をついた
『・・・』
「(改めてみると、美人・・・だよな)」
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