進撃 小説

□進撃の巨人 17話
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「なんでまた案内人に?」

「警護の一環だ。ナビゲーターという仕事がある訳じゃない」

「お前に守られる日が来るなんて思わなかったな」

「本当は別の者が指揮を執るはずだったんだが・・・。
 俺は先の遠征で亡くなった班長の代わりというわけだ」


「班長ってもしかして、ヒースのことか?」

「知ってるのか?」

「面識はないけどちょっとな」

ただで乗り物酔いで気分は最悪なのだから、今以上に不快になる必要はなかった。
アンヘルは吐き気を誤魔化すため半ば強引に話題を変えた


「それはそうと、結婚式の日取りは決まったのか?」

「唐突だな」

「随分前から話題にはなっているだろう?」

「そうだったか?」

「おいおい、あんまり焦らしてマリアを泣かせるなよ?」

「分かってるさ」

ソルムはきっぱりと言い切った

「調査兵団に解散のうわさがあるのは知っているか?」

「そんなの年から年中だろ」


アンヘルの私的にソルムは苦笑いで応じる

「今までとは少し状況が異なる。調査兵団はまさに正念場だ」


「街の連中には、そこそこウケも良いだろう?」

「調査兵団の仕事は人気取りじゃない」


ソルムは肩をすくめると、さらに話を進める

「政情が変わりつつある」
「どういう意味だ?」

「保守派が実権を握りつつある、ということだ」

「引きこもり連中か」

「王政府も一枚岩ではない。
 革新派と保守派が常にせめぎ合っている」

「で、今は保守派に勢いがあると」


保守派が王政府に多いということは、得成果を上げていない調査兵団は必然的に解散の危機に直面する。
彼らを黙らせるには、それに見合うだけの結果が不可欠だった。
(工場都市の役目も変わってきそうだな)

造幣局を建てるという噂もあるので、今度も年の存在は秘匿され続けるだろうが
施設の規模は縮小される可能性が高い。


「巨人の首でも取ってくれば随分状況も変わってくるんだろうな」

「できることなら、そうしたいが・・・」

「巨人は倒せない、か」『ーぁ』


だが、巨人も生き物である以上、弱点は必ず存在し、倒すことも可能なはずである。
(巨人の調査さえ許されれば、それを証明してやるんだけどな)

だがしかし、その許可が下りることはないだろう。
巨人が倒せると分かれば状況は一変する。
変化を恐れる者、特に保守派にとっては都合が悪いはずだ

「調査兵団の一員として、何かしら結果を残したい」

「それが結婚に踏み切れない理由か」
『さっさと結婚すればいいのに』

突然ヴェアルが入ってきた

「・・・お前いつから起きてた?」

『?さっきだけど』

「離れろ!」

ヴェアルを引きはがそうとしているアンヘルに対して、ソルムは苦笑しながら言った

「お前には期待している」

「・・・俺に?」

「工場都市が機能し始めれば、今までにない新しい武器が製造できるはずだ
 それだけの設備が工場都市にはある」

「あまり期待されても困る」

特にソルムとマリアの未来を背負うなど、荷が重すぎた
アンヘルにできるのは武具開発して兵に提供することである。
それを用いて結果を残すのはソルムの仕事だ。

(新しい武器か)

アンヘルは黒金竹を手にして思案に沈む、
今の所何も閃かないが、とんでもない発明に繋がる筈だという根拠のない確信があった
黒金竹がそれだけの潜在性を秘めているという証拠だろう

「けどさしあたって俺に必要なのは・・・」


アンヘルは体を横たえると「寝ることだな」と言った。
ヴェアルはそんなヴェアルを見てこうきいた

『膝枕しようか?』

「あぁ」

そういってアンヘルは膝に頭を乗せた
すると今まで気になっていた揺れがまったく感じられなくなり眠りに落ちた



『おやすみ』



『・・・可愛いなぁ(ナデナデ』







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