進撃 小説

□進撃の巨人 20話
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(最悪だ....)


車内は上下左右に揺れ、地震でも起きたかのような状況である

上体を下げるよう指示されたが

とても体を起こしてなどいられない。



自然と床に伏せる体制を取っていたが

小柄なコリーナだけは揺れに合わせて体を浮き沈みさせていた。

ヴェアルがボールのように跳ねるコリーナを抱きとめたとき

発砲音が鳴り響き、そのうちの何発かが幌に穴を開けた



「(このままじゃ、時期に蜂の巣になる)」




何か手を打たなければならないが、荷車の中にいてはどうするともできない

ほどなくして追いつかれたのか戦闘が始まった



乱闘になっているようで、もみくちゃになりながら戦う様子が伝わってくる

そんな中ヴェアルはどこかを見つめたまま黙っている



「これはまずい状況ですね」


「私たち、どうなっちゃうんでしょう」



いくつもの雑音に耳をふさぎたくなるが、揺れに対処するだけで精いっぱいだった。

だしぬけに幌が裂かれる

破れた個所から風が勢いよく流出し、幌を捲り上げそして乱暴にはぎ取っていく

視界が明けたところで状況は一目瞭然になった

馬車は短刀を手にした敵にぐるりと囲まれており、逃げ場はどこにも見当たらない


(護衛は?味方はどこだ?!)



アンヘルは救いを求めて周囲に目を配る


護衛は敵を追い払うべく善戦していたが、数で押されて対応しきれない状態だ

敵の凶刃がアンヘルに迫る



「ひっ......」



敵と目が合ったとたん、アンヘルは瞳の奥に宿る殺気に気づいておののいた

日常生活で多少の害意を感じることはあっても害意を向けられるなど初めての経験だ。


怯むアンヘルに対し、敵は容赦なく短刀を振り下ろす



「う、うわっ」


アンヘルは無様な悲鳴を放ちながら、体勢を崩した

ヴェアルに後ろから引っ張られたのだ

目の前をギラリきらめく刀身がが通り過ぎる

もし引っ張られていなかった頭を割られていただろう。







『(ここは飛ぶべきか、飛ばないべきか...)』




「(いったい何を考えているんですか?)」






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