進撃 小説
□進撃 21話
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「安全は約束されているはずでは?」
ゼノフォンは嫌味を口にすると、手にしていた小瓶の一つを敵に放り投げる
敵はあっさりとそれを避けるが、小瓶は地面に落ちることなく
中空で破裂し、爆竹にも似た破裂音と稲光のような光を放った。
それ自体に殺傷力はなく
直撃してもやけど程度ですむ花火のようなものだが、驚かすには十分だ
馬は前足を跳ね上げて騎手の一人を振り下ろした
「手榴弾?持ってきてたのか...」
「まさか、、今しがた作ったばかりですよ」
「作った?!」
「こんな時だから必要と話したでしょう?」
ゼノフォンはさらりと告げると、小瓶の蓋を開けて調合を始める
だが幌を失い、風と揺れの影響を受ける中で作業を行うのは至難の業だ
ましてや目の前には倒すべき敵がいるのだから、そもそも作業などできる環境ではない。
案の定、ゼノフォンは調合をさせてもらえず、小瓶の中に収まっていた薬剤は風にさらわれていった。
ドガッッッ
爆音が響く、目の前には大砲にも似た爆薬が広まっている
「(――ッ!!)」
『ソルムひけっ!飛ぶぞ!!ブレッヒェン!』
ヴェアルの声と同時に爆薬が消える
兵が馬車の元まで下がると、その場には敵のみが残った
突然消えた馬車と兵に敵たちは呆然と立ち尽くすことしかできなかった
『(本当はあんまり使っちゃダメなんだけどな)』
「たすかったの..か....?」
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