進撃 小説
□進撃 23話
1ページ/1ページ
「はっ?!」
朝目が覚めると、隣の部屋で寝ているはずのヴェアルが居た
『んん、アンヘルくん?おはよぅ』
ヴェアルは何でもないといわんばかりにうとうとしている
アンヘルは思わずため息をついた
「はぁ」
いまだに意識がよく覚醒していないようでぼんやりしているヴェアルを横目に一階へ降りた
宿泊施設の一階は食堂を兼ね備えた休憩室になっており、百名ほどが収容できる室内は多くの人で賑わっていた
大半がアンヘルと同じ職人であり、彼らは仲間内でかたまり
思い思いの話で盛り上がっていた
宿泊施設は複数ありアンヘルたちが泊まってたのは見学者用の施設だった
一週間ほどの短期期間を想定して作られているので質素なものだったが
一番の問題は食事の用意をする者がおらず、缶詰が積み上げられていることだった
「朝から缶詰ってのはどうなんだろうな」
アンヘルはテーブルに並べられた缶詰を眺めながらつぶやく
豪勢な食事を要望するつもりもないが、温かい食事をしたかったのである。
前日は吐くばかりでろくに食べていなかったのでなおさらだ
「無料で食べれるわけですし、贅沢は言えないかなぁと」
コリーナはアンヘルをいさめると、缶切りを駆使して淡々と開けていく
「(肉、豆、魚、あとは干した果物か)」
缶詰であるという点を除けば割と種類は豊富だ、有事に備えた食糧だろう
賞味期限は怪しく、異臭はしないので腹を下したりはしないだろうが味には目をつぶるしかなさそうだ
「野戦食は食べたことあるか?あれと比べれ場缶詰はご馳走だぞ?」
ソルムは刃物で缶詰の蓋をこじ開けると、その先ぬパサついた肉を突き刺した
「馬上でも食べれるように作られた代物だが、味も素っ気ない上に石みたいに硬い」
『そうそう、あれ不味いよねー』
いつの間に下りていたのかヴェアルは笑いながらそう言って缶詰を食べる
『(美味しいとは言えないんだよなぁ)』
「(いつの間に降りてきたんだ....)」
.