貰い物
□大人カラ子供ニナルトキ…
1ページ/2ページ
--------------------------------------------------------------------------------
アンダーセブンティーン合宿に黒部が勤務することになってから早1年がたとうとしていた。
そんな黒部は、クールでストイックで…
少なくとも、高校生という子供を相手にするとは誰もが思わない。
だが、黒部は一人の高校生に心を許していた。
しかも、女子。
黒部は、彼女のことを名前で呼ばず"あなた"とよぶが、
その彼女と会話する姿は、
少しシャイな大人…だった。
「あ、黒部さーん!七番コートの連中が六番コートに喧嘩うってるよー!!」
「放っておきなさい。それより、中学生への手配は、すみましたか?」
「モチロン!最後の仕事、責任もってやらせていただきました!!」
ここで黒部と会話している女性こそが黒部がゆいいつ心を許していた人物。
この会話の内容を聞いていると、
ここから先活躍予定の中学生への参加招待状を手配して作らせたのがかのじょらしい。
忠実な黒部の下部というやつだ。
まあ、本人が喜んでやっていることだから周りがとやかく言う必要は、ないのだが…
何故、そもそものアンダーセブンティーン合宿所に彼女のような女性が居るのだろうか…?
答えは簡単。
もともと黒部たちのようなコーチ達には、秘書のような雑用係のような要員がひつようだったからだ。
斎藤や、柘植コーチにもついていた。
そう。
ついていた。
過去形である。
先ほども彼女が言ったように彼女にとって中学生に招待状を送る手続きが最後の仕事。
一般の学生である彼女が雑用係という名目で何ヵ月もアンダーセブンティーン合宿所にいるということは不可能。
斎藤と柘植の雑用係は数日前に仕事を終え、帰宅したのだ。
「最後……ですか」
「さみしい?」
「…いいえ。何故なら、またすぐ会えるからです」
「おっ、いいこというねたまには(´∇`)」
彼女はノリが軽い。
だから、本気の言葉ものみこまれる。
「荷物をまとめてきなさい。入口までおくってあげます」
「あんがとー」
彼女の笑顔に嘘はない。
その笑顔に何回救われたことかと、長い間考えてきた。
けど、考えてもきりがないからやめる。
恐らくこれからも救われれるだろうから。
「今までご迷惑をかけ続けてもうちわけない」
「迷惑とは、思っていませんよ。こちらこそ雑用ばかり押し付けてしまい申し訳ありません」
「楽しかったから別にいいよー(*´∀`)♪」
「……ええ、私も楽しかったですよ。」
「…まだ続けたいなー…なんて」
「おや、奇遇ですね。私もまだ続けて頂きたいと考えていました。…ですが、あなたは学生です勉強もあります。未來もあります。ここで止まっていてはいけません」
「じゃあ…いい就職口教えてよ?」
「ええもちろん…。卒業したら、必ず迎えに行きます」
「……うん、待ってる」
「では、お気をつけて」
「…ありがとう…。…大好き」
「…早く行きなさい。……返事はまた会うときに」
二人のわかれは、二人の出会いである。
FIN.