暇つぶしor小説part2
□蓮の庭
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ぼんやりと明かりが灯っていた
木製であるだろうこの家は歩くたびにギシギシと音を立てる
いつから其処に在ったのか、此処に居たのか
自分には分からなかった
それでもここは自分にとって落ち着ける場所なのだと思った
外は暗く、ぽっかりと浮かんでいる月がまるで異質なものの様に感じられた
周りを見回して見ても何もなく扉一つ無かった
延々と続いているようにも感じられる通路を歩き進める
タタッ
白いモノが目の前を走って行った
思わず声が出そうになる、しかし声は出なかった。
まるで声を否定されているかの様に
少し歩くと鏡があった、今までは何もなかったというのに
鏡の前に立ってみるが、鏡には自分の姿が映っていなかった
ただ、それが悲しく感じた
それと同時に安堵の息をつき足を進める
しばらく歩いていくと階段があった
下に続いているようだが薄暗くてよく見えない
通路に明かりがあったはずだと思い
後ろを振り向くが、ぼんやりと灯っていた明かりは消えてしまっていた。
しかたなくそのまま階段を下りていく
少し甘い香りがした
下りていくにつれて甘い香りが強く香ってくる
その匂いにつられて進んでいくと、庭が見えた
ザワザワと音がする、木々がざわめき月明かりが周りを照らす
その一面蓮の花が咲き誇っていた…
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