暇つぶしor小説part2

□蓮の庭
1ページ/7ページ



ぼんやりと明かりが灯っていた

木製であるだろうこの家は歩くたびにギシギシと音を立てる
いつから其処に在ったのか、此処に居たのか
自分には分からなかった

それでもここは自分にとって落ち着ける場所なのだと思った


外は暗く、ぽっかりと浮かんでいる月がまるで異質なものの様に感じられた
周りを見回して見ても何もなく扉一つ無かった

延々と続いているようにも感じられる通路を歩き進める



タタッ


白いモノが目の前を走って行った
思わず声が出そうになる、しかし声は出なかった。


まるで声を否定されているかの様に

少し歩くと鏡があった、今までは何もなかったというのに
鏡の前に立ってみるが、鏡には自分の姿が映っていなかった


ただ、それが悲しく感じた
それと同時に安堵の息をつき足を進める



しばらく歩いていくと階段があった
下に続いているようだが薄暗くてよく見えない

通路に明かりがあったはずだと思い
後ろを振り向くが、ぼんやりと灯っていた明かりは消えてしまっていた。
しかたなくそのまま階段を下りていく


少し甘い香りがした

下りていくにつれて甘い香りが強く香ってくる
その匂いにつられて進んでいくと、庭が見えた



ザワザワと音がする、木々がざわめき月明かりが周りを照らす

その一面蓮の花が咲き誇っていた…



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ