□op.1 気づけば不幸せと幸せ
1ページ/9ページ



暖かな風が頬を撫でる
 
広い草原。蒲公英畑の中。


その花の色に似合う少女の姿を気づけば目で追ってしまう自分がいる。



一生懸命摘んでは結んでの作業を繰り返す少女は、
もう一人の片割れの存在に気づくと顔を上げて大きく手を振った


「あっ!レンー!」


いつになく眩しい笑顔が迎えてくれるから
それに答えるのは当たり前なんだ。


「リンちゃん作ったの!」

近づくと彼女は嬉しそうに今方出来たばかりの花冠を頭に乗せてくれた。
クスクスと笑う彼女の笑顔が何だかくすぐったい。



「レン王子様みたい!」


少女は目を細めて照れながら笑った。
幸せそうな表情に俺も先程作った…

「僕も作った」

リンの頭に同じ蒲公英の冠をのせた。


「レンのが上手!レン大好き!」

顔を赤く染めて抱きつくリンは…

俺の大切な思い人

「…僕も大好き。」


でもこんな善と悪との違いがわからなかった俺に、してはいけない恋なんてわかる訳がなかった…


「えへへっ。リンちゃんはレンのお…」
リンの口を押さえて静止させる



「リンは僕の    。」



目を見開いて俺を見つめたそんな表情に惹かれながら
リンにそっと口づけする。
リンは顔をさらに赤くしてコクンと頷いた。

とっても綺麗で罰当たりな思い出。

こんな毎日があたりまえだとおもっていたから…。


だから、全てを知っていけないと知ってしまった今、

 成長して大人に向かっていくこの今、

この生まれてから続いている初恋に終止符を打つことに決心しなくてはいけなかった。



リンは俺にとって双子の姉で初めての愛した人


姉弟ましては双子という血の繋がり
結婚できない、子供も作れない。
そんな女性にとって幸せを、まして大好きなリンのを奪うなんてそんな悲しい思いさせたくないから。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ