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□Orange
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どれ位の時間が経っただろうか。

ふとエリンは視線を感じ、美しい橙の空から目を離した。

イアルを見ると、その瞳と目が合った。

見られていたと気づき、エリンの顔に少し熱が集まる。


「え…と、イアルさん、どうかしましたか?」


エリンがそう問うが、イアルはエリンをじっと見つめたまま、口を開こうとはしない。

「イアル…さん?」

語尾に疑問符をつけ、エリンがイアルの名を呼ぶと、イアルはエリンを見つめたまま、静かに口を開いた。


「…綺麗だと、思ってな……。」


微かに笑みを浮かべながらイアルが呟くようにそう言うと、エリンは笑って頷いた。

「私もそう思いました。今日の夕焼け空、とても美しいですよね。」


しかし、なぜかイアルは苦笑すると、エリンから目線を外し、黙ってしまった。

エリンはそのイアルの頬が微かに赤くなっていることに気づくと、不思議そうに首を傾げた。

「……イアルさん?」

エリンが訝しげに名を呼ぶと、イアルは少し困ったように眉を下げながら、ちらりとエリンを見、すぐに目線を外すと、口を開いた。


「…夕焼けではなく…、夕日の光を浴びた、エリンが……綺麗だと、思ったんだ……。」


小さく、呟きにも似たその声を聞くと、エリンはきょとんと目を丸くした。

しかし少し間を置き、その言葉の意味を理解してくると、エリンは自身の顔に熱が集まってくるのを感じた。

「……え…?」

困惑し、どうしたらいいか分からなくなっている、真っ赤に染まったエリンの顔を見て、イアルは微かに苦笑した。


互いに無言で二人が空を見上げると、夕陽の光で橙色に輝く茜雲が、ゆっくりと空を流れていた。


 Orange
  (橙に染まった茜雲)
   (貴方が居てくれるから、余計に美しく見えてしまう)


→アトガキ
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