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□Orange
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エリンは腕を上に上げ、軽く伸びをした。
いつの間にか、大分肩がこってしまっていたのだ。
エリンは目を閉じ、ゆっくりと息を吸い込む。
爽やかな風が気持ち良く、その風で草が揺れる微かな音も耳に心地良い。
「イアルさん、お手伝いありがとうございました。」
エリンが腕を下ろし、笑いながら振り向いてそう言うと、イアルも微かに目を細めてそれに答える。
「今日は結構時間がかかってしまったな…。」
ふうと一息ついてイアルが言うと、エリンも苦笑しながら頷く。
「朝から天気が良かったので、蜜蜂達もリラン達も、元気に動き回りましたから。
いつもより少し大変でしたね。
そういえば今日は昼餉時以外、殆ど動き詰めでしたね。イアルさんは、身体の方は大丈夫ですか?」
イアルは優しく目を細め、エリンを見つめた。
「ああ。多少疲れたが、それ以外はなんとも無い。エリンこそ、俺の倍は動いていただろう。大丈夫か?」
そうイアルが眉を顰め、少し心配げに問い返すと、
エリンは体をイアルのほうに向きなおし、微笑みながら頷いて口を開いた。
「はい、わたしも少し疲れましたが、大丈夫です。
イアルさんが手伝ってくれたので、仕事もそんなにきつくなかったですし。」
エリンは目の前で自身を見つめているイアルの目を見つめ返しながら、そう言った。
イアルは安心したように「そうか」と呟くと、ふいに空を見上げた。
つられて空を見上げたエリンは、次いで小さく感嘆の声を漏らした。
二人が見上げた空には、夕陽の鮮やかな光で輝く空と、
陽を受けて橙色に染まった、空に浮かぶ茜雲があった。
暖かな橙色の茜雲はゆっくりと、輝く空の上を動いてゆく。
朝見た時には青かったその空は、美しい、夕の空となっていた。
「…綺麗……。」
エリンは思わず、そう小さく呟いた。
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