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□穏やかな休息
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暖かい太陽の陽が、草の上に寝そべった二人を優しく包み込む。
エリンは柔らかな草に手を伸ばし、触れた。
新緑の草が、静かに揺れる。
葉は太陽の光を受け、淡く輝いているようにも見えた。
小さく目線を上げ、エリンは傍らに寝そべっているイアルを盗み見た。
イアルは瞼を閉じ、静かに太陽の陽を受けていた。
時折吹く風が、イアルの髪を微かに揺らす。
「…エリン?」
呟くように小さな問いかけの言葉に、エリンは黙ってイアルの瞳を見つめた。
そしてゆっくりと手を伸ばすと、静かにイアルに抱きついた。
イアルの胸に顔を埋めると、エリンは軽く目を伏せた。
イアルは微かに眉を上げたあと、小さく笑みを零した。
片手でエリンの柔らかな髪に触れ、優しく髪を梳くように撫でた。
その穏やかな心地よさに、エリンは思わず目を細めた。
「―…眠いのか…?」
エリンの耳元で、イアルはそう囁いた。
エリンはその問いに微かに頷くと、既に閉じようとしている瞼を、片手で軽く擦った。
その行動を見てイアルは微笑むと、優しく目を細めた。
「大丈夫だ。…寝ていい。」
ぼんやりとした意識の中、エリンは小さく頷き、イアルの胸に顔を埋めた。
イアルの胸の鼓動を感じながら、エリンは背に回した腕に微かに力を込めた。
頭に置かれたイアルの手の重みは、エリンにとって心地よかった。
エリンは瞼を閉じ、深くゆっくりと、草と風の爽やかな香りがする空気を吸った。
静かに息を吐くと共に、エリンは小さくイアルの名を呟いた。
眠りに堕ちていく中でエリンは、耳元でイアルがエリンの名を呼んだような気がした。
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