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□穏やかな休息
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暫くするとイアルは、エリンの体から僅かに力が抜けたのを感じた。


イアルはいくらか頭を下げ、自身の腕の中で寝息をたてながら眠っているエリンを見つめた。


同時にイアルは、その穏やかな顔を見て、静かに目を細めた。


「エリン」

そう囁くように呟きながら、エリンの髪に触れた。

柔らかな麦藁色の髪が、陽の光で淡く輝く。


自身よりも小さいエリンの体を優しく抱き締めれば、その温もりが衣を通して伝わってくる。


普段蜂飼いの仕事もしているせいか、微かにエリンからは甘い蜂蜜の香りもする。

イアルは小さく笑みを零した。


草が風に揺られ、エリンの頬をくすぐった。

頬をほんのりと赤く上気させて眠るエリンは、小さく身じろぎした後、再び寝息をたて始めた。

エリンが息をするのに伴い、その華奢な肩がゆっくりと小さく上下する。



この穏やかな空気にイアルは身を任せた。

こうしてエリンと共に居ると心が落ち着き、静かになる。



今は長い睫毛に縁取られているエリンの瞳を見つめ、イアルは優しく目を細めた。


「エリン」

耳元で名を小さく囁くと、エリンが微かに笑ったような気がした。


  穏やかな休息
   (こうして何もせず休むのも、悪くは無い)


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