Request
□穏やかな休息
2ページ/3ページ
暫くするとイアルは、エリンの体から僅かに力が抜けたのを感じた。
イアルはいくらか頭を下げ、自身の腕の中で寝息をたてながら眠っているエリンを見つめた。
同時にイアルは、その穏やかな顔を見て、静かに目を細めた。
「エリン」
そう囁くように呟きながら、エリンの髪に触れた。
柔らかな麦藁色の髪が、陽の光で淡く輝く。
自身よりも小さいエリンの体を優しく抱き締めれば、その温もりが衣を通して伝わってくる。
普段蜂飼いの仕事もしているせいか、微かにエリンからは甘い蜂蜜の香りもする。
イアルは小さく笑みを零した。
草が風に揺られ、エリンの頬をくすぐった。
頬をほんのりと赤く上気させて眠るエリンは、小さく身じろぎした後、再び寝息をたて始めた。
エリンが息をするのに伴い、その華奢な肩がゆっくりと小さく上下する。
この穏やかな空気にイアルは身を任せた。
こうしてエリンと共に居ると心が落ち着き、静かになる。
今は長い睫毛に縁取られているエリンの瞳を見つめ、イアルは優しく目を細めた。
「エリン」
耳元で名を小さく囁くと、エリンが微かに笑ったような気がした。
穏やかな休息
(こうして何もせず休むのも、悪くは無い)
→アトガキ