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□振り向けば君が
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窓から日が差し込み、小屋の中を明るく照らした。

腕の中で静かにもぞもぞと動く感触がして、次いで小さな声が聞こえてくる。


「どうしたの、ジェシ。」

エリンが優しく微笑みながら顔を近づけて囁くように言うと、ジェシはその小さな顔に満面の笑みを浮かべた。


「あー、」

言葉にならない声をあげながら伸ばされた柔らかな手に、エリンは目を細めながら触れた。

するとその指はすぐに強く握られ、暖かい手の温もりに包まれる。


「―…ジェシ」

愛しげに彼女がその名をぽつりと呟くと、ジェシはきゃっきゃと楽しそうに笑った。



いつの間にかエリンの横に来ていたイアルが、屈むようにして彼女の腕の中を覗き込んだ。


ジェシは目を細くして声をあげて笑ったまま、空いているほうの手をイアルの目の前へ伸ばした。

イアルは静かな微笑を浮かべ、小さな手を優しく握った。


不意にイアルとエリンの目が合い、同時に小さく笑みを零した。



―…ジェシが生まれた日にも、こうして二人でジェシを見つめた。


その時は、押し寄せる感情の波に抗う事が出来ずにただただ涙を流していて、

涙で揺れる視界の中で、ジェシの顔をうまく見ることはできなかった。

エリンの傍らでは、イアルも静かに涙を流していた。



ジェシの細く柔らかな髪を、イアルが指で軽く触れた。


小さく微笑んだエリンが目線をあげてイアルを盗み見る。

じっとジェシを見つめるイアルの瞳に暖かで優しげな感情が映っているのを認め、エリンの胸に何かがじんわりと広がった。


と、エリンの視線に気付いたイアルがエリンの顔を見た。

見つめていた事に気付かれてエリンは頬をほんのりと紅潮させると、慌ててイアルから目線を逸らし、再びジェシを見た。


先程まではしっかりと開かれていたジェシの瞳は瞼に隠れ、微かに寝息も聞こえてきていた。

頭上でイアルが小さく笑ったような気がして、エリンは顔を上げた。


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