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□ある日の心配事
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イアルは微かに眉を下げ、静かに口を開いた。

「書物を読むなとは言わないが、体を壊さない程度にしてくれ。」

エリンを見つめながら、イアルが溜息混じりにそう言うと、エリンは眉を下げて頷いた。



「…でも、心配してくださったんですよね?」


ふと、目線だけ上げてそう問うたエリンに、イアルは一瞬驚いて眉を上げたが、小さく頷いた。

「?あ、ああ…」

エリンはそれを聞いて静かに顔を上げ、ふわりと微笑んだ。


「…わたし、イアルさんが心配してくださって、嬉しかったです。」


ありがとうございます、と言いながら、嬉しそうに目を細めてイアルを見上げてくるエリンを見つめながら、

イアルは困ったように眉を下げた。


(……ここは、怒るところなのだろうか。しかし…)


嬉しそうにして見上げてくるエリンを見ていると、イアルは怒ることはできなくなった。


代わりに、イアルの心には、暖かい何かが広がっていった。


イアルは小さく息をつくと、エリンの片頬に自身の片手をおき、静かにエリンを見つめた。

するとエリンは驚いたように眉を上げた。

瞬く間にその頬は上気し、赤く染まる。

イアルはそれが愛しかった。


暫く経った後イアルは、エリンの唇に自身の唇を重ねる等の行為におよんだのであった。


  ある日の心配事
   (何時も結局、貴女には敵わない)


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