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□シュガーレスラブ(伊達)
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――――初秋。

「政宗様、武田軍の真田幸村様がいらしております」
私室で書き物をしていた俺に、小十郎がそう告げた。
「Thanks.すぐ行く。」
短く答えると、『南客間にお通ししておきました。』と、小十郎は言って下がった。


珍しい事もあるものだ。
真田幸村が一人で来るなんて。(や、あいつの忍がいるかもしんねぇけどさ)
いや、本当は嬉しくて嬉しくてしょうがねぇのよ。
分かる?わっかんねぇだろうなぁ。
お前には。
おまえ、俺なんかどうだっていいだろうから。


嬉しくて飛び上がりたい衝動を隠しながら、客間に向えば幸村は、ぼんやりと正面の掛け軸を見ていた。
そんな幸村は、なんだか妙に魅力的だった。
幸村を《ハカナゲ》と例えるのは、些か抵抗があるけれど。

けれど。
けれど、どう言う訳だろう。
武士らしからぬ、気怠げな顔つきで座す幸村は、普段ともかけ離れた繊細な印象があった。
まるで、少年の様に。
実にサマんなってる。
変にそそるもんがあった。

ふと、気配を感じ視線をずらせば小十郎がいた。
手には、茶椀をのせた盆を持っている。
どうやら、俺がいつまでたっても客間に入らないからどうしようか…と、いった処だろうか。
『Sorry、小十郎』と、心の中で詫び、我を忘れて見とれていた自分に苦笑する。

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