Beauty is eternal even if reborn.

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【It is a friend from today】








「お前らも知っていると思うが、彼女はこの学校の生徒会長、平滝姫だ。今日から雲雀同様ボンゴレファミリーの仲間に加えるぞ」


「状況がよく飲み込めていないが、平滝姫だ。よろしく頼む」


昨日の今日でまたリボーンに会うとは思わなかったな


というか呼び出されたと言った方が正しいか


昼休み中に生徒会室で恭弥と昼食後のお茶をしていたら、急にリボーンが部屋に窓から入ってきたのだ


恭弥は3日続けて会えた事を喜ばしく思っていたが、リボーンの話に直ぐ様「興味ない」と言って部屋から出て行ってしまった


因みにまだ応接室は使えないのできっと暇潰しに行ったのだろう


校内の群れる草食動物を咬み殺しに


私はボンゴレとか言う綱吉が仕切るファミリーの仲間に挨拶しろと言われたので、よく分からないままとりあえずリボーンと屋上に来たのだが…


「十代目!何ですか、この女は!俺は認めませんよ!」


「生徒会長さんかー。入学式でそういえば見たような気がするのな」


仲間はどうやらこの二人のようだ


爽やかな野球少年が山本武


煙草の匂いがする不良っぽいのが獄寺隼人


…ん?煙草?


「獄寺とか言ったな」


「あぁ?」


「お前、煙草吸ってるだろう?ヤニ臭いぞ」


顔をしかめて指摘すると獄寺は、何が悪いと言い返してきた


怖いもの知らずか


生徒会長の私にそんな口の聞き方をする奴、見たことがない


よし、それならば


「停学」


「はぁ?!」


「ちょ、滝姫さん!」


私の一言に獄寺と綱吉も声を上げる


いや、普通にどの学校でも煙草を吸ったら停学くらいなるだろう


「待って下さい!獄寺君、確かに煙草吸ってるし、見た目不良っぽいけど、でも俺の友達なんです!それに頭も良いから成績だって優秀だし…あ、出席日数だって足りてるし」


「じゅ、十代目…」


必死に食い下がって獄寺を庇う綱吉に、庇われた獄寺も感激しているのか目が輝いている


人は見た目じゃないって?


獄寺の目を見れば分かる


本物の不良は目が荒んでいるが、獄寺の目は死んでない


むしろ綱吉のせいか何のせいか知らないが、真っ直ぐ生きている奴の目だ


(やれやれ、私だって冗談で言ったつもりだったんだけどな)


思わぬ展開になった事に苦笑した


中々に熱い友情関係を綱吉は築いているようだ


「そうだなぁ…。どうするか」


「滝姫さん、」


悲願する綱吉の顔にそろそろ免じてやるとするか


「ふふ、なんて顔をしているんだ。冗談に決まっているじゃないか。大体綱吉の友達、そして仲間ならそんな酷な事するわけないだろう?」


そう言ったらあからさまに安堵する綱吉が可愛らしく思えて額をツンと指で突っついてやった


「本当に?良かったぁ…」


突っつかれた額に触れながら、へにゃり顔で笑う綱吉は直ぐに「だって獄寺君。良かったね!」と獄寺を振り返った


綱吉、本当に嬉しそうだな…


「は、はい!ありがとうございます!十代目!」


「ううん、俺は何も…むしろお礼は俺じゃなくて滝姫さんにしてよ」


「え?」


普通に土下座して礼を言う獄寺を綱吉は笑って受け入れる


何やらもう日常化されているせいで慣れてしまっているようだ


慣れとは恐ろしいな…


すると獄寺はくるりと私に身体ごと向けて急にさっき綱吉にしたようにガバリと土下座をしてきた


「お、おい?」


いくら私が美しく聡明であっても土下座までされた記憶はこの14年間全くないぞ


せいぜい頭を下げられるくらいか


これはもしや人生初の土下座か


なんて考えていたら頭を上げた獄寺と目が合う


何だ何だ、


目が…爛々と輝いていないか?


「滝姫さん、ありがとうございますッ!しかも先程の暴言の数々、何とお詫び申し上げれば宜しいか!」


「い、いや、気にするな。だけど煙草は程々にしておけよ?身体に悪いし、特に学校ではなるべく控えるように。恭弥が煩いからな」


決して吸うなとは言わない


誰だって命令されて止める奴なんていないし、ならせめて身体を気遣って欲しい


「はい!…あぁ、なんとお優しいお言葉!十代目の目は確かですね!あ、山本は別ですが。こんな素敵でお美しい方とお仲間になれるなんてこの獄寺、幸せです!」


「はは、大袈裟だよ…」


「何で俺は別なんだ、獄寺ー?」


「煩ぇ!山本、お前は黙ってろ!」


「おい、獄寺。ついでに言うと滝姫はツナの未来の妻候補ナンバー1だぞ。むしろ俺の女でもいい」


「リボーン、後者は断ったはずだが?」


「そうだったか?忘れたな」


しれっと知らばくれるリボーンは気付けば私の膝の上に座って寛いでいた


いつの間に?


「そ、それは本当ですか、十代目?!」


「えぇ?!いや、それはあの、えーっと…」


しどろもどろの綱吉は私に助けを求める視線を投げ掛ける


彼の顔が赤いのは、まぁ気のせいにしておいてやろう


「その辺にしなさい。そろそろ昼休みが終わるぞ、お前達」


リボーンを抱き上げながら立ち上がると綱吉もハッと腕時計を見て「わっ、本当だ」と言った


「ていうか俺、あんまり会話に参加出来なかったなー」


山本は頭の後ろに両腕を回して笑う


そう言われてみればあまり会話に入ってこなかったような


「では今度暇な時に生徒会室に来るといい」


「え?いいんスか?」


「あぁ。その時はゆっくり話をしよう」


ニコリと笑みを向けると山本は嬉しそうにはにかんだ


笑う所も爽やかだな


「狡ぃぞ、山本!滝姫さん、俺も是非!」


手を上げて是非にとお呼ばれされたいらしい獄寺に快く頷くと「よっしゃ!」と何故か多大に喜ばれた


「ただ遊びにこられても何だ。ついでにツナと一緒に暇な時に手伝わせたらいいんじゃねぇか?」


私を見上げてくる腕の中のリボーンは不敵に笑う


どうやらこの赤ん坊はボンゴレの仲間を連れ立って生徒会室を拠点にしようとしているな


「獄寺と山本さえ良ければ私は構わないが…。リボーン、生徒会室での群れは中々勇気が必要だぞ?」


何せ恭弥がよく入り浸るからな


「らしいな。お前ら、覚悟して行けよ」


「はい、リボーンさん!」


「ゲェー!もう殴られたくなーい!」


「ハハッ、覚悟かぁ。んじゃ、いっちょ頑張るぜ」


三人揃ってバラバラな反応が可笑しくてクスクスと笑う


あ、そういえば結局ボンゴレが何なのかキチンと聞いていなかった


仕方ない、また別の機会にしよう


急がなくとも時間はまだ沢山あるんだから


昼休み終了の予鈴を聞きながらこれから起こる彼らとの様々な日常を期待して、私は悠長にそう思っていた


自分の命運や彼らの壮絶な戦いが訪れる事にも気付かず…







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