腐夢
□ボンゴレのエースクンとヴァリアーの天才クン
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応接室のキッチンに入ったベルは先刻雲雀に触れられた前髪を自分でも触れていた・・・。
(・・・。まじで・・・ビックリした・・・王子の心臓めっちゃドキドキいってっし・・・。アリエネー!!!)
実を言うとベルは大空戦で戦った時以来雲雀の事が忘れられずメンバーに黙って逢いにきていた。
(日本にいつまで居られるかも分かんねーし・・・?たぶん。だから・・・日本にいる間だけでも逢いたかったんだよ・・・。なんか・・・。王子ヘタレ・・・かも。あーっもう!いつまでドキドキゆってんだ?王子の心臓!!)
赤くなっている顔を袖口でグイッと拭い両手でパンパンと軽く叩く。
(うしっ落ち着いた。さて・・と)
「紅茶・・・こうちゃっ・・と・・・」
目の前にある棚をごそごそと探し出す。
そこで・・・一つの問題点に気づくベル。
「!!て・・・。王子紅茶淹れんの・・・
初めてなんだけど・・・?・・・。ししっ・・まっ・・・いっか?」
棚に置いてある紅茶の箱を取り出す。
(テキトーテキトー)
「あっ!!ヤベ・・・。これどう見ても葉っぱ入れす・・・ぎ?か?ま平気っしょ。だってオレ王子だし?」
ティーポットにお湯を注ぎ、これまた適当なカップに注ぎ雲雀の元へ持っていく。
「はい。できた。王子が紅茶淹れるなんてレアだから・・・」
そう答え自分の分の紅茶を手に取りソファーに腰掛ける。
「へえ。きみ・・・こういう事もできるんだ?」
「当たり前じゃん?王子天才だぜ?」
口角を吊り上げニッと笑う。
「ふうん?」
そう言った雲雀は紅茶を一口飲んだ。
「・・・・。ワオ!刺激的だね。」
雲雀の一言にベルは首を傾げ自分の紅茶を口に含む。
「!!・・にがっ・・・しかも・・・しぶっ」
うえーと舌をだしキッチンへ飛び込む。
「まっじーっ!なんだこれぇぇ・・・」
ごくごくと水を飲んでいると後ろに雲雀の気配を感じた。
「ねえ。。きみ・・・これどんな淹れ方したわけ?」
振り向くと壁に背を凭れかけて立っている雲雀がトンファーを抱えていた。
「別に?てき・・・じゃなくて普通に淹れたし。」
ティーポットを指さすベル。
「??」
雲雀は訝しげにティーポットの中を確認した。
中にはこれでもか?という程の茶葉が入っていた。
「・・・・。ししっ。」
はあ・・・。
本日何度目かの溜め息。
その溜め息を聞いたベルは真っ赤になり頬を膨らませ必死に言い訳をはじめた。
「だいたい王子はこんな事しないし?飲みモンとかはカマにいつも淹れてもらってっし?
こんな事したの初めて?だし・・・」
「これは・・・もう飲み物ではないね。噛み殺す!!」
雲雀はトンファーを構えてベルに向かっていく。
ヒュンッ
「わっ!!あぶね・・・っと」
ひょいと避けるベル。
「逃げないで噛み殺されなよ。」
「ししっ・・・ヤダ。」
ヒュンッ
再び雲雀がベルに向かう。
「おっ・・・と・・・うわ!!」
雲雀の攻撃を避けているベルが後ろのソファーにつまずいてドサリと倒れこんだ。
「・・・。ヤッベー・・・。ちょ・・まて!!まてまてまて」
ベルは降参というように両手を上げる。
「フン。きみ・・・本気じゃないね?まあ・・・いいよ。本気じゃないきみと戦っても面白くもなんともない。」
「ししっ・・・当たり前じゃん。別に王子戦いに来たわけじゃねーし?」
ニッと笑うベルはソファーに座りなおす。
「フン。」
もう一度鼻をならした雲雀は踵を返しキッチンへ向かう。
カチャカチャとキッチンのほうから音がし、ほどなくして2人分の紅茶とお菓子を手にした雲雀が戻ってきた。
「しょうがないから・・・僕が淹れてあげたよ。感謝してよね。だから静かにして僕の邪魔しないでくれる?」
呆れているのかもう一度大きな溜め息をつきベルの前に手際よくカップと菓子を置く。
「・・・。」
呆気にとられてボケっと雲雀を見ているベル。
「なに見てるの?いるの?いらないの?いらないんなら今すぐかえっ・・・」
いらないの?の後の言葉の予想はつくのでベルは
「いるに決まってんじゃん」
即座にそう答え紅茶を口にする。
「・・・。うまっ・・・王子の淹れたのと全然ちがうし?」
「ワオ!一緒にしないでくれる?あんなに葉っぱを入れている人は初めてだね。自殺行為に近いよ。まったく。」
「ひっでー。つうか客に普通そこまで言うか?」
「客?あのね・・・。さっきも言っ・・・」
また雲雀のお説教が始まりそうなのでベルははいはいと答え目の前にある菓子に手をつける。
「ししっ・・・エースクン実はやさしーんだ。王子ちょとカンド―。」
「・・・・。」
雲雀は無言でくるりと背を向け自分のデスクに向かう。その後ろ姿をちらりと見やれば耳が真っ赤に染まっていた。
(ししっ・・・。エースクンカワイ・・・)
「と・・・とにかく静かにしててよね。」
念を押す雲雀にベルは嬉しそうに笑いはいはいと答えた。
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