腐夢
□ボンゴレのエースクンとヴァリアーの天才クン
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雲雀の身体からそっと自身の身体を離したベルは大きな伸びをする。
「とりあえずさ・・・。ナミモリの商店街いこうぜ?見回り・・・あんだろ?」
そう言ったベルは雲雀の手を掴みずんずんと歩き出す。
「・・・ちょ・・・まだ・・・時間早いから・・・。」
そう答える雲雀に答えを返す。
「ん?だってさ・・・。早くきょーや抱きたいし?時間もったいないじゃん?」
「・・・・。」
無言の雲雀だがイヤがる様子も見せないのでそのままナミモリの商店街へと向かうベルは嬉しそうにしていた。
「こんな風に歩いてる場合じゃないよ。」
ぶつぶつと言いながらもベルの手を離すことはない。
「ししっ・・・きょーやカワイ。照れてるし?」
「照れてない・・・。帰る。」
「まっ・・・いいじゃん?もうすぐで着くし?」
そう答えたベルはそのまま雲雀の手を引いて歩いていく。
「・・・。」
そうして2人が行き着いた場所は商店街のど真ん中にある綺麗に飾られた大きな竹。
「なあきょーや?」
「・・・。なに。」
「タナバタってさ。なんか願い事するんだろ?」
「まあ・・・そうだね。」
「今日きょーやンとこ行く途中でさ。これ貰った・・・。ちっさい女の子に。この四角い紙に願いごと書くと叶うんだろ?」
「さあね。僕は自分の願いなんて自分で叶えられるからね。書いた事もないよ。」
「ししっ・・・。きょーやらし。でもさ今日はいいじゃん。なんか願い事書けって。」
「・・・・。」
渋い表情を浮かべベルの差し出した紙に視線を移す。
「君も書こうとしてるの?」
「もっちろん。書く事なんて決まってっけど」
口角を上げて笑うベルはいつの間に持ってきたのかポケットからペンを取り出しさらさらと文字を書きだした。
「ニホンゴで書けばいいんだよな?」
それを見ていた雲雀は驚いた表情を浮かべた。
「ねえ。それ・・・僕の部屋にあったペンだよね・・・。それに・・・その願い・・・もう叶ってるじゃない?」
「ん?まーな。でもオレ王子だから欲張りなんだよ。」
「僕が欲しい?可笑しなことを書くよ?」
照れたようにそっぽを向き答える雲雀はベルからその短冊を奪う。
「却下だね。これは。」
そう答え短冊を丸めてゴミ箱へ投げ捨てる。
「ししっ・・・。ひっでぇ・・・」
ベルは笑いながらもう一枚の短冊を雲雀に渡す。
「んじゃ。きょーや書いてよ?王子が欲しいってさ?」
「・・・。」
無言でベルから短冊を受け取った雲雀はベルの持っているペンを取り上げ仕方なく文字を書いていく。
「うわっ・・・。きょーや字めっちゃ綺麗だし?」
「当たり前だよ。僕は生粋の日本人だからね。ほら。これでいいでしょ?」
ベルの方へ短冊をみせた雲雀の顔は真っ赤に染まっていた。
「ししっ・・・。」
その短冊を見たベルは嬉しそうに笑う。
「しょうがないからベルがほしい。≠セってさ。あーもうなんでこんなにきょーやカワイイんだよ?コレ王子のね?こんなとこにかざらせねーし。」
そう言って自身のポケットにしまい込みその場で雲雀を抱きしめる。
「ちょ・・・。なにしてるの?」
「いいじゃん?きょーやは王子のモノってことで。」
「・・・・。」
雲雀は自身がなぜこんな場所で人目も気にせず抱きしめられているのに振りほどけないのかぼんやりと考える。他の人に同じ事をされていたなら間違いなく噛み殺している。
ベルに抱きしめられると良く分からないむずむずするような感情が体中を駆け巡り心臓が強く脈を打ち始める。それと同時に自身の身体が粟立ってしまう。言葉には絶対出さないがこれはベルとそう言う・・・。所謂身体を重ねる関係になりたいと言う気持ちの表れなのだろうなと感じていた。
ベルのストレートな物言いは雲雀の感情を穏やかかつ急激に変えさせているのだ。
「・・・。君といると・・・」
ベルの腕の中に閉じ込められながらポツリと雲雀が本音を漏らす。
「どうしてこんな僕になるの?僕が僕じゃない・・・。」
「それってさ。王子も一緒。きょーやとこうしてるだけで気が狂いそうになるし?」
「・・・。同じなの?」
「ん?そ。おなじ。きょーやが好きすぎて気が狂いそになる。はやく自分のモノにしてきょーやがおかしくなるくらいに好きだっていって。壊れるくらい抱きたい。」
「僕を壊したら・・・。噛み殺す・・・。」
「ししっ・・・。」
満足そうに笑うベルは雲雀に噛みつくようなキスをする。
唇が離れ2人を繋いでいた銀糸がプツリと途切れる。
「しししっ・・・。早くきょーやンちかえろ?もうがまんできねーし?」
「・・・。まだ見回り終わってないよ。」
「ムリ。もう待てない。今日こそはきょーや王子がいただくから?」
「・・・。」
無言の雲雀を半ば強引に強制連行したベルはそっと雲雀の髪に唇を落としその場を離れた。
おしまい♪
→あとがき