腐夢(短編)
□Say you love me?
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「おい。ダメツナ!!ちゃっちゃっと仕事しやがれ!!」
ドガッ
「たっ・・・。なにすんだよ!!リボーン!!」
今日もボンゴレ本部の職務室はにぎやかである。
「あー!!もう!!ムリ!!充電切れ!!」
そう言葉を発した綱吉は自身のデスクにぐったりと顔を埋め大きな溜息を吐いた。
机の上にひれ伏しピクリとも身体を動かさずに窓の外の空を見上げる。
ここの所敵対するファミリー殲滅や同盟ファミリーとの会食やらで休みも取れない綱吉は疲れた様子を見せていた。
「そういえば・・・最近顔見てないなー。」
ポツリと呟いた綱吉は自身の恋人であるザンザスの紅い瞳を思い出しながら自身の匣に炎を注入する。
「ガウ・・・(ご主人様元気無い・・・)」
匣から出てきたナッツはそう一泣きし綱吉を心配そうに見つめていた。
「ナッツ・・・。おまえも最近ベスターに逢えないから淋しいでしょ?」
[ガゥ・・・(そうかも・・・)」
綱吉の声に反応するナッツも少しさみしそうな声を上げる・・・。
リボーンに背をむけたままぶつぶつと独り言をつぶやいている綱吉をみたリボーンは溜息を吐きだした。
その溜息に気づく事ない綱吉はさらに大きく溜息を吐き出しボーッと空を見つめている。
確かにこのところ綱吉はもはや激務としか言えないような仕事を黙々とこなしておりそれはリボーンも分かっていた。このまま仕事をしていたとしても効率も悪くなり綱吉も潰れてしまう。そう考えたリボーンは綱吉に言葉を発する。
「はぁ・・・。もうつかれた・・・・」
そうポツリと呟いた綱吉の瞳には光が無く、相当参っているように見えた。
その姿に再度溜息を吐いたリボーンは綱吉に声を掛けた。
「おい。ダメツナ!!」
「ん?なんだよ?リボーン?仕事しろって言いたいんだろ?わかってますよーだ。」
そう答えた綱吉は自分の机から顔を上げ書類に目を通そうと手に取る。
「今日と明日は休みにしてやる!オレもおめぇも充電が必要だからな。」
そう答えたリボーンは部屋を後にした。
「へ・・・?」
琥珀色の大きな瞳は職務室を後にするリボーンの背中をぽかんと見つめパチリと瞬きをし、肩に乗っているナッツの瞳と合わさった。
「ナッツ?どゆこと?今リボーン明日まで休みって・・・・。えぇぇぇぇぇ!?」
驚いた綱吉はガタンと椅子から立ち上がり辺りを見回す。
「ちょっ・・・。ナッツ・・・明日雪降っちゃう!!いままだ9月だよ!!まずいって!!リボーンがあんなこと言うなんて!!リボーンどうしちゃったの?」
あわあわと慌てふためいている綱吉は執務室をうろうろと歩き回る。
その時綱吉の側に置いてある電話が一際大きな音を鳴らす。
「わぁぁぁぁぁ!!」
ガタンッ
その電話に驚いた綱吉はソファーのテーブルに足を思い切りぶつけてしまった。
「いたーっ!!だれ?こんな時にー」
ジンジンと痛む足を庇いながら電話に向かう。
「だれ〜?いま手がはなせない〜!!足ぶつけた・・・った〜」
涙を堪えながら電話を取り返事をする。
「この・・・。ダメツナっ!!いいか?オレ様がおめぇに休みをくれてやるって言ってんだ!!いつまでもそこに居たらドタマかち割んぞ!!このっ・・・ダメダメダメツナが!!」
ブチッ・・・ツーツー・・・
「・・・・。切れちゃったよ・・・。も〜なんだよ!!リボーンの奴!!しかもダメが3ッつに増えてましたけど?」
そう1人ごちた綱吉はとりあえず頭をかち割られたくはないのでいそいそと職務室から出て行き中庭へと足を進め広い空を見上げる。
「これからどうしよっか・・・ナッツ・・・」
「ガゥ・・・(そうだね・・・)」
1人と1匹は再度空を見上げて溜息を吐いた。
「・・・・・」
「・・・・・」
しばらく空を見上げた1人と1匹はふと思いついたように顔を見合わせた。
「そだ・・・向こうが来てくれないなら逢いに行っちゃえばいいんだ!!」
「ガウ!!(いっちゃう?ご主人様)」
「よし!!決まりっ!!ヴァリアー邸に出発!!」
「ガウ!!(出発〜!!)」