腐夢
□ボンゴレのエースクンとヴァリアーの天才クン
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「きょーや。王子ツマンナイ!!死んじゃうー。」
「・・・。うるさいよ。僕は今忙しい。邪魔するなら帰りなよ。」
合いもかわらずこんなやり取りをしている2人は何を隠そうまあ・・・隠してはいないが・・・。恋人同士である。
「ねえ。きょーや。今日って何の日だかわかる?」
「今日?」
「そ。今日。」
ベルの質問に首を傾げる雲雀だがベルは何も答えを返す様子もなくニヤニヤと笑っている。
その笑い方に雲雀はイラっとしつつも今日は何の日だったか思案する。
「・・・・。7月7日・・・。」
「そ。ジャッポーネなら誰でも知ってるし?」
「・・・・。」
そう答えたベルは゛もう分かるだろ≠ニでも言いたげに雲雀を見つめている。
「ああ・・・。七夕の事?」
「当ったりぃ〜。っつーか?きょーやさあ・・・。日本人なのに七夕知らない?」
からかうように答えるベルを雲雀は睨みつけ不機嫌そうに答える。
「そのくらい・・・知ってるよ。ねえ。ベル。僕をバカにしてるのかい?」
カタリと椅子から立ち上がる雲雀を見たベルはチェシャ猫のように笑い口角を上げる。
「でもさぁ・・・。忘れてたんじゃね?」
その言葉にピクリと雲雀の動きが止まる。
「・・・・。」
その行動にしししと笑うベルは言葉を続ける。
「きょーや。デートしよ?」
「は?」
突然の言葉に些か頭が痛くなった雲雀は溜め息を吐き答える。
「なにそれ・・・。僕は忙しいって今・・・言ったよね?ベル・・・聞いてたの?」
「え〜?だってさ・・・きょーやこの前王子に言ったじゃん。きょーやの事くれるってさ・・・。結局もらえなかったし?ずりぃ・・・。」
「・・・・。」
即答で返事をするベルはそっと雲雀の傍に近づき黙っている雲雀を腕の中へ閉じ込め言葉を続ける。
「だから・・・。デートしよ?な?いいじゃん。」
閉じ込めている腕にギュッと力を込め耳元で囁き頬に口づける。チュッとリップ音を立て離れて行くベルの唇に雲雀はガラにもなくドキリとしていた。
「・・・・。」
それを無言で受ける雲雀の顔はほのかに朱色に染りそれをみたベルは密かに欲情していた・・・。
「王子今日・・・絶対にきょーやとデートしたかったんだ・・・。」
「・・・・。じゃあ・・・僕の仕事手伝ってよ。じゃないと・・・行かない。」
さらりと言葉を返してはいるが雲雀の心臓はいつもより音が早い。それをベルに悟られるのは自身のプライドが絶対に許さないので何事もないように答える。
「ししっ・・・じゃあ決まりな?で?何を手伝えばいい訳?」
そう答えたベルは俄然やる気になっておりソファーに座る。
「・・・。出来るの?」
疑うように聞いた雲雀にベルはニヤッと笑い答える。
「基本的にヴァリアーアタマいいし?これでも王子報告書とか書いてんだぜ?出来ないわけないじゃん。」
自信ありげに答えるベル。その言葉を信じて資料を渡し説明すればこんなの簡単じゃん?≠サう答えサラサラとペンを走らせる。
「ふうん・・・。ベル・・・きみ頭いいんだ?」
「はい。オワリ。次は?」
「じゃあ・・・これ。」
「ん?今度は予算の計算?簡単じゃん?」
次々と雲雀から渡された資料をこなしていく。雲雀自身もデスクに座り本日の仕事に没頭する。そして1時間もしないうちに机の上の書類が無くなった・・・。
「はい。オワリ。んじゃ・・・きょーやデートしよ?」
「・・・。しょうがないな・・・。いいよ。どこに行くつもり?」
雲雀が返事をするとベルは意外な場所を指定した。
「んー?ナミモリの商店街。今日ココに来るときに通ってきたけど・・・。飾りがすっげーキレイだったし?」
「商店街・・・?」
雲雀は其れを聞いてあからさまにイヤな顔をした。
「人が群れてるところはイヤだ。僕は好きじゃない・・・。」
「チェッ・・・。きょーやワガママ・・・。んー?じゃあ・・・」
ベルはつまらなそうな顔をして考える。次に言葉を聞いた雲雀は絶句する。
「きょーやのウチは?」
「・・・・。」
「きょーやのウチで七夕の飾り・・・」
「却下。」
「ししっ・・・だってさ・・・人が居ないトコだろ?それに王子きょーやのウチ知りたいし?」
口角をあげて笑っているベルに本日2度目の溜め息・・・。
「・・・・。本当はイヤなんだけど・・・いいよ・・。」
「えっ?マジ?」
驚いたように答えるベルにくぎを刺す。
「ただし・・・。僕の家に来たら僕の家の風紀に従ってもらう・・・。いいね?」
「きょーやのウチのフウキって?」
「僕の家にきたら着るものは着物。それがイヤなら・・・却下!」
そう答える雲雀にベルはオッケー≠ニ答え嬉しそうに笑う。その笑顔に雲雀はまたドキリとしてしまった・・・。
(いったい・・・この心臓の動き・・・なに?)
「ねえきょーや?」
「なに?」
名前を呼ばれた雲雀はベルの方へと視線を戻すがそれはベルの腕の中にまた閉じ込められた所為で叶わなかった。すると耳元で名前を呼ばれ背筋がゾクリと粟立った。
「ちょ・・・どうして耳元で話すの?離して欲しいんだけど・・・?」
あわてた雲雀はベルの腕から逃れようと腕に力を入れるが力が入らず顔を顰める。
「きょーや・・・。キスしてい?」
「はっ?何いっ・・・ッ・・・」
雲雀の言葉は途中で遮られた・・。それもそのはず・・・雲雀のそれはベルのそれによって噛みつくように塞がれていた・・・。
「・・・ッ・・・んんっ・・・」
息苦しくなった雲雀は重ねあうようにつけられた唇が一瞬離れたので息を吸いこもうと口を開くがその隙を狙ったベルは口内に舌を侵入させ口腔内を蹂躙させる。逃げる舌を追いかけ自身のソレと雲雀のソレを絡めた。
「ん・・・ッ・・・」
雲雀自身こんな事は初めての経験でありこの口づけに翻弄される。ぬるりと混じり合う舌にゾクゾクと背中に競り上がってくる感覚に意識が飛びそうになるのを懸命に堪えていた。