腐夢
□ボンゴレのエースクンとヴァリアーの天才クン
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「きょーや。早く!!」
「・・・。そんなに急がなくても僕の家は逃げないよ。」
「だってさ。きょーやが逃げるかもしんねーじゃん?」
「・・・。逃げないよ。」
溜め息を吐き不機嫌に答える雲雀にベルは苦笑いする。
「ねえ。きょーや。やっぱ王子ナミモりの商店街行きたいんだけど・・・」
「・・・・。さっきも言ったよねベル・・・この時間は人が多い。僕は行きたくない。」
歩きながら会話をしている2人。即答で却下を告げる雲雀にベルが提案をする。
「んー?じゃあ夜は?もっと遅い時間だったらど?」
「夜・・・。ならいいよ。僕も町内の見回りがあるからね・・・。ベルも見回りてつだってよね?」
「ししっ・・・。りょーかい。」
笑って応えるベルはとても満足そうにしていた。
程なくして雲雀家へついた2人。ベルに目をやった雲雀は訝しげな顔をする。
「なに・・・・?」
雲雀の言葉にベルはニヤリと笑い返事をする。
「でっけーウチ・・・。ツナヨシのウチはもっと小さかった・・・。」
「ワオ・・・。草食動物の家と比べないでほしいね・・・。」
イヤそうな顔をして答える雲雀にベルは再び笑う。
「入って・・・・」
そう言った雲雀は颯爽と中へ入っていく。そのあとに続くように中へと入っていくベルは足を踏み入れた瞬間感嘆の声を上げる。
「すっげ・・・。これってなんつったけ・・・・純・・・」
その言葉を遮るように雲雀は答えを返す。
「純和風・・・。客間とかは和風だけど・・・。僕の部屋は違うよ。こっち・・・」
きょろきょろとあたりを見回すベルを自室へと通す。
「ししっ・・・。きょーやの部屋・・・。王子の部屋よりちょっと狭い。」
「・・・。咬み殺そうか・・・?」
そう答える雲雀をよそに部屋を歩き回り物色しているベル。
「・・・・。」
雲雀は無言でその様子を見ている。一通り部屋を物色したベルは満足げにこれまた雲雀のベッドへと寝転がる。
「・・・・。ちょっと・・・。僕のベッドに勝手に寝ないでくれる?」
「いいじゃん。ここきょーやのニオイがする・・・。イイにおいだし?」
すうっと大きく息を吸ったベルはゆっくりと身体を起こす。
「・・・・。」
自室の机の椅子に座りベルを無言で睨みつけていた雲雀はふいと顔を反らし立ち上がりドアに向かい声を掛ける。
「草壁・・・。お茶・・・。よろしく。持ってきたら下がってていいよ。」
「へい。恭さん・・・。」
草壁がお茶を持ってきて下がった後雲雀は再度椅子に腰を降ろし日本茶を啜る。
「で?ベルはどうしてウチへ来たかったワケ?」
雲雀が口を開くとベルもお茶をすすりながら返事を返す。
「ンなの決まってんじゃん。」
「??」
「きょーやが欲しかったから?」
ベルの言葉に雲雀は思わずお茶を飲んでいた手を止める。
「しししっ・・・」
口角をあげたベルはしてやったり顔で雲雀を見据える。
コトリ・・・。
ふいに立ち上がったベルは湯のみを置き動きを止めている雲雀を腕に閉じ込めた。
「ね?王子にきょーや・・・ちょうだい?」
「・・・!!・・・」
耳元で囁くように話しかけ、するりと頬を撫でたベルは有無を言わさないと言うように自身の唇で雲雀のそれを塞ぎ抱きしめている腕に力を込めた。
「ちょ・・・ベル苦しいよ・・・骨折れたら噛み殺すから・・・」
照れるように身を捩る雲雀はベルから身体を離す。
「しししっ・・・。別にきょーやに噛み殺されるんならいいし?」
口角を上げて笑うベルを雲雀の黒色の瞳が見据えその瞳を反らす。
「・・・。それは・・・困るかな・・・」
そう答えた雲雀は耳まで真っ赤にして答えを返す。
その言葉に驚いたベルは再度嬉しそうに口角を上げ雲雀を真正面から抱きしめた。
「んじゃ・・・きょーやを王子にちょーだい?」
耳元でそっと囁くその声に雲雀の肌はゾクリと粟立ってしまう。
それを感じたベルは再度耳元でそっと囁く。
「王子さ・・・。こんな気持ち初めてだよ・・・。早くきょーやの事・・・抱いて自分のモノにしたい。誰にも触らせたくない。」
「・・・・。」
何も答えない雲雀はその答えを返すかの様にベルの唇に自身のそれを触れさせ身体を離す。
それは雲雀が唯一認め心を開いている証であり精一杯の愛情表現・・・。拙い口づけだがベルはそれだけでも満足していた。