遊戯

□夏祭り
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(1)
福原の和議をどうにか成功させたい。
戦わなくては前に進めない事もあるけれど。
戦わなくてもいい事だってある。
私一人の力では無理かもしれない。
でも、みんなの力を借りる事ができるならば……。

福原の和議が無事成功してから、しばらくの時が流れました。
私たちはまだ現代に帰ることなく、この世界にいます。
ちゃんとした平和が取り戻されるまで、見届けようって決めたからです。
平家と源氏もゆっくりとですが、わだかまりが解け始め、少しずつ仲良くなってきました。
でも、まだあと一歩何かが足りません。
そこで、私はある計画をみんなに持ち出しました。

「お祭り?」

私の言葉に、九郎さんが眉をひそめました。

「はい!夏の定番と言えば、夜祭りですよね。源氏と平家とで、合同でお祭りを開催しちゃうんです。
お客さんに一般の方も呼んで。楽しいですよ、きっと。」
「しかし、今はそんな事をしている場合では…。」
「九郎…、だからこそ良いんじゃありませんか。面白そうですね。僕たちは別に構いませんよ。」

弁慶さんがにっこりと笑って賛同してくれました。
景時さんも、楽しい事大好き!と言った雰囲気で、言ってくれました。

「俺も賛成だね。でも、平家が話に乗ってくれるかな〜?」
「そこは、平家代表の将臣くんに何とかしてもらいましょう。」
「え?俺?」
「いつもいなくて、こんな時しか役に立てないんだから、どうにかしろよ。兄さん。」
「お前…言うようになったな…。」
「大丈夫だよね?」
「ああ…。一人厄介なのがいるが…。なんとかするさ。」

……ああ、アレか……。

一瞬ある銀色人物が思い浮かびましたが、将臣くんに任せておけば問題ないと思います。

「先輩。」
「何、譲くん。」
「お祭りをやるのはいいんですが…。出店の機材とかはどうするんですか?
わざわざ一つ一つの出店に、かまどを作るのはさすがに無理でしょうし…。作って持って行きますか?」
「そこはそれ、龍神の神子の力で何とかします。ね、白龍?」
「うん!神子が望むなら!」
「……………深くは突っ込むな、と…。」
「そう言うこと。」




「じゃあ、みんなには役割分担してもらうね。九郎さんは、源氏側の総務総括。将臣くんは、平家側の総務総括。
弁慶さんは医療班長。ヒノエくんは出店総括…出店の仕入れ担当ね。景時さんは、花火担当。
譲くんと朔は出店を出してもらいたいの。それから、先生は警備担当。敦盛さんは音響担当をお願いします。
私はみんなのお手伝いをするわ。……こんな感じでどうかな…?」

徹夜で考えたんだけど、みんなが受け入れてくれるか不安…。
ドキドキしていたけれど、

「よし、やるからには徹底的にやるぞ。」
「可憐な姫君の願いを断る無粋な男なんて、いるわけがないだろう?望美の仰せのままに。」
「神子がそう望むのならば、喜んで私の力を貸そう…。」
「わくわくするねっ。俺はりきっちゃうよ〜!」

良かった!乗り気のようです。
今から私も楽しみで仕方がありません!!


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