◇小説◇
□Secretly[scene:2]
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その日、一護が風呂から戻ると、ルキアが自分のベッドを占領して寝入っているのが目に入った。
「……ったく…」
普通寝るかぁ?と半ば呆れて、自らの濡れた髪をくしゃりと掻き上げる。
「…無防備すぎだろ……もしかして俺、男に見られてねーのか……?」
一人ごちながら、ルキアを起こそうとベッドに近付く。
上から彼女の顔を覗き込むと、よほど寝心地がいいのか、その寝顔はうっすら笑みを浮かべているように見えた。
「――……」
起こそうという意志は、いとも簡単に萎えた。
ここで彼女を起こすのはさすがに意地の悪い行いだと、一護は判断した。
つくづく甘いと思うが、惚れた弱みってやつだから仕方ない。
一護はルキアの枕元に座り込むと、じっと彼女の顔を見つめた。
すやすやと眠るルキアの姿は、あくまで穏やか。
いつも偉そうなだけに、こういう時に見せる表情は貴重なものだと感じる。
これは自分だけの特権だと思うと、嬉しくてたまらなくなった。
一護は無意識に彼女の髪に手を伸ばし、触れていた。
「――あ」
慌てて手を引っ込めるが、彼女が起きる気配はなかった。
「…何やってんだ、俺…///」