◇キリリク小説◇

□Difficulty
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「温泉?」

「ああ、浦原からこれを貰ってな」

ルキアは小さな紙切れを一枚持っていた。
何かのチケットのようなサイズだ。

「“宿泊無料券”…?」

俺はその紙切れに書いてある文字を読んだ。

「うむ!折角だからと思ったのだが」

「へ――って、俺とお前で!?」

俺はかなり驚いた。
この瞬間、俺の眉間のシワはすごい事になっていたと思う。

「何だ、駄目か?」

「や、ダメとかじゃねえけど…」

困った。
…だってコイツ…。
男の俺と旅行しようってんだぞ?
それはつまり。

「…………。」

ダメだ、頭がそっち方向にしか働かない。
仕方ねえんだよ……俺だって男なんだから。
……けど。

「一護?」

うなだれた俺の表情を、ルキアは怪訝な顔で覗き込もうとする。

「……ルキア」

悩んだ末。

「その話は、ナシにしてくれ」

きっぱりと言い切る。

「なっ、何故だ!?」

「とにかくダメだ」

やっぱ、信用が第一。
ルキアに手ぇ出して、この関係が壊れたら元も子もねえ。
ただの思い違いかもしんねえけど、今、俺とルキアは結構いい感じだし(←笑)。
告白こそしてねえけど。



「……」

ルキアはしゅんと頭を垂れた。
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