◇キリリク小説◇
□Southerly wind
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一ヵ月分くらいの「晴れ」を空いっぱいに敷き詰めたような。
そんな、よく晴れた日曜日。
*
「天気いいなー」
太陽の眩しさに目を細めながら、今し方起きたばかりの一護は、ベッドの上で大きく伸びをした。
「どっか行くか?」
何の気なしに、一護はベッドに腰かけるルキアに問い掛けた。
「……何処へだ?」
“どっか”という言い回しに疑問を感じたルキアは、問い返す。
「んー……」
特に行き先を考えていたわけではなかったから、一護は軽く唸る。
それを見たルキアも色々と思いをめぐらせる。
「あんみつが食える所」
「またかよ」
ルキアはなにかと甘味処に行きたがる。
甘味処なら、学校帰りにだって行けるのだが。
「では、ハワイとやらに旅行に行こう」
「ハワイ旅行って…ιんな軽いノリで行けねえだろι」
大体、そんな金はない。
一護はルキアの提案に、ことごとく脱力感を覚えた。
「まあ、貴様と一緒なら私は何処でも構わぬ」
「……」
ルキアはこうしてたまに、一護が喜ぶ事をさらりと言ってのける。
天然なのか、確信犯なのか。
不覚にも緩む頬に力を入れつつ一護は。