◇キリリク小説◇

□Southerly wind
1ページ/4ページ


一ヵ月分くらいの「晴れ」を空いっぱいに敷き詰めたような。

そんな、よく晴れた日曜日。







「天気いいなー」

太陽の眩しさに目を細めながら、今し方起きたばかりの一護は、ベッドの上で大きく伸びをした。



「どっか行くか?」

何の気なしに、一護はベッドに腰かけるルキアに問い掛けた。

「……何処へだ?」

“どっか”という言い回しに疑問を感じたルキアは、問い返す。

「んー……」

特に行き先を考えていたわけではなかったから、一護は軽く唸る。

それを見たルキアも色々と思いをめぐらせる。



「あんみつが食える所」

「またかよ」

ルキアはなにかと甘味処に行きたがる。
甘味処なら、学校帰りにだって行けるのだが。

「では、ハワイとやらに旅行に行こう」

「ハワイ旅行って…ιんな軽いノリで行けねえだろι」

大体、そんな金はない。



一護はルキアの提案に、ことごとく脱力感を覚えた。



「まあ、貴様と一緒なら私は何処でも構わぬ」

「……」



ルキアはこうしてたまに、一護が喜ぶ事をさらりと言ってのける。
天然なのか、確信犯なのか。

不覚にも緩む頬に力を入れつつ一護は。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ