青学

□愛しい人
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【愛しい】
かわいい。
恋しく慕わしい。












「海堂」


今日も、愛しい人の名前を呼ぶ。

俺が呼ぶと、何をしていても、すぐに振り向いてくれる。


──が、今日は違う。
いや、振り向く事は振り向くが、表情は固い。
すぐ視線を俺から外し、再び前を向いて歩き始める。

俺の先をスタスタ歩く海堂。
俺は、その数歩後ろを歩く。



「まだ怒ってるのか?」



原因は、俺にあった。



「…当たり前じゃないスか」
「悪かった」



ここは校内だと分かっていても、海堂を前にすると、抑えがきかなくなる時がある──



「…海堂は」
「……何スか」
「可愛いからな…」
「なっ…!」

思わず立ち止まって、振り向く海堂。

その照れた様な表情も愛しくて、すぐにでもどうにかしたい衝動に駆られる。


「俺には全てが可愛く見えるんだよ」


立ち止まったままの海堂に近づく。


「例えば、その表情」


海堂の目を見つめる。
海堂の瞳に、俺の顔が映る。



「その表情も、俺を惑わすには十分過ぎるほどの威力が有るって知ってた?」


海堂が、ふいと横を向いた。


「その仕草もね」
「………///ι」



どんな小さな仕草にも目を奪われる。


全部 記憶しておきたいから

どんな小さな事も
決して見逃さない

どんな小さなサインでも
全部 受け取るよ




「海堂」
「今度は何スか…」
「さっきのキスは不満だったか?」
「Σだから何でアンタはそういう事平気で言うんスか!?ι」


そう、その顔も好きだよ。


「何せ、一瞬だったしな」
「ココ学校スよ!ι」
「じゃあ、学校以外でなら良いんだな」
「Σそういう意味じゃねえ(汗)!!」


その顔も好きだよ。


「何笑ってんスか!?」


その顔も


「Σ乾先輩!」


俺を呼ぶ声も




全てが愛しい




†END†

2005.12.12
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